野村監督 電撃辞任!就任5年“区切り”「優勝しても…」

[ 2014年10月9日 05:30 ]

試合を終えて囲み会見に応じる野村監督(左)

 広島は8日、野村謙二郎監督(48)が今季限りで退任すると発表した。球団側に辞任の意思を申し入れ、了承された。後任は未定。今季は2年連続の3位に終わったものの、就任5年で低迷していたチームを再建。「5年が区切り」とし、ユニホームを脱ぐ。今季は最後まで指揮を執り、11日から阪神と対戦するクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージは集大成として臨む。

 広島に衝撃が走った。阪神とのCSファーストステージを3日後に控え、野村監督は宮崎でフェニックス・リーグ、ロッテ戦の指揮を執った後、辞任の理由を説明した。

 「シーズンが始まる前から、今季でケジメをつけようと思っていた。5年という節目の中で決断させてもらった。自分の中では納得いくチームづくりはできた」。当初はポストシーズン終了後に報告する予定だったが、ドラフトや自身の後任を含めた来季のコーチ人事への影響を考慮し、CS前の電撃発表に至った。「タイミングが悪いのは重々承知。選手にはこういう形になって申し訳ないと伝えた」と話した。

 体調面の不安があった昨年10月、全日程終了後に辞任を申し入れ、松田元オーナーに慰留された。その時点で「5年を区切り」と心に決め、今季に臨んだ。「順位どうこうではない。たとえ優勝していても、そういうふうに思っていた」。それでも23年ぶりのリーグ制覇を目指し、9月まで巨人と首位争いを繰り広げながら優勝を逃した責任も感じている。9月18日、鈴木清明球団本部長に今季限りの辞任を伝えた。レギュラーシーズン終了翌日の7日、宮崎入り前に松田オーナーの元を訪れ、了承された。

 10年に就任し、菊池、丸、堂林ら若手を積極的に起用し、主力選手に成長させた。昨季は16年ぶりのAクラスとなる3位に入り、球団初のCS進出を果たした。今季も新人の田中をレギュラーで起用。大リーグで臨時コーチを務めた経験も生かし、外国人選手とも対話を重ねた。エルドレッドは来日3年目で本塁打王となり、貧打に悩まされ続けたチームが今季、両リーグ最多の153本塁打と成果を出した。

 現役時代は広島のスター選手として活躍し、監督としても長く低迷したチームを再建。松田オーナーからは「おまえは不運な男だ。つらい時にやらないといけない運命なんだ」と言われ、「また、つらい時が来たら呼び戻す」と2次政権を約束された。その前に集大成の戦いが待つ。野村監督は選手とコーチを集めて「最後、みんなでいい思いをしたいので、頑張ろう!」と呼び掛けた。

 ◆野村 謙二郎(のむら・けんじろう)1966年(昭41)9月19日、大分県生まれの48歳。佐伯鶴城から駒大に進み、4年時の88年にソウル五輪に出場し銀メダル。同年ドラフト1位で広島に入団した。95年には打率.315、32本塁打、30盗塁で「トリプルスリー」を達成。05年に通算2000安打を達成し、同年に引退。タイトルは最多安打3度、盗塁王3度など。通算成績は1927試合で打率.285、169本塁打、765打点、250盗塁。10年から広島監督。1メートル76、80キロ。右投げ左打ち。

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