阪神 中大・島袋指名へ 藤浪と史上初の甲子園春夏V腕コンビに

[ 2014年10月4日 05:30 ]

中大の島袋

 阪神が今秋ドラフト会議(10月23日)で中大・島袋洋奨投手(4年)の指名を検討していることが3日、分かった。島袋は興南(沖縄)のエースとして10年の甲子園大会で春夏連覇。すでに阪神には藤浪晋太郎投手(20)がおり、獲得ならプロ野球史上初めて同一球団に2人の「春夏V腕」が所属することになる。阪神はこの日、西宮市内の球団事務所でスカウト会議を開き、全体の指名候補選手60人をリストアップした。

 実現すれば、これほど夢の膨らむことはない。10年の甲子園大会。トルネード投法で旋風を巻き起こし、史上6校目の春夏連覇を達成したイケメン左腕と言えば、野球ファンで知らない人はいないだろう。その島袋の指名を、甲子園を本拠地とする阪神が検討中だ。

 球団関係者が見通しを立てる。「もちろんリストには入っています。状態を見極めていくことになるでしょう」。島袋はすでに9月26日にプロ志望届を提出済み。球団はドラフト当日まで、入念に調査を進める算段だ。

 藤浪の“先輩”とも言える春夏連覇左腕。高校卒業後は東都大学リーグの中大に進学。1年春のリーグ戦から開幕投手を任された。入学以来、主戦投手としてフル回転。3年時には各球団スカウト陣の間で、早くも「14年のドラフト1位候補」として注目を集めた。ただ今年は春から不調に陥り、リーグ戦も未勝利。プロ各球団の評価も、決して高いとは言えない。

 とはいえ、素材は一級品だ。1メートル73、71キロと小柄ながら、球の出所が見づらい独特のトルネード投法から最速150キロの直球を投げ込む。スライダーも切れ味抜群。本来の姿を取り戻すことができれば、プロで通用する力は持っている。事実、8月19日の巨人2軍とのプロアマ交流戦では先発して6回7安打1失点と好投。その試合でも4四死球と制球に苦しんでおり、本調子とは言えない状態で試合をつくった。だからこそ「伸びしろ」は大きいと言える。

 阪神は上層部の意向もあり、以前から島袋の密着マークを続けている。別の球団関係者も「春夏連覇投手ですしね。実績は十分。今は調子が良くなくても、プロで復活してくれたら」と言う。ただし、現状では上位指名の可能性は低く、中位以降での指名を検討中だ。

 阪神は近年、「甲子園のスター」を積極的に指名する傾向が強い。島袋は、そんな球団の思惑とも合致する。ただドラフトは巡り合わせ。島袋には他球団も興味を示しており、先に指名される可能性も、もちろんある。藤浪と島袋の「春夏連覇二枚看板」実現へ、あとは「縁」と「運」だ。

 ◆島袋 洋奨(しまぶくろ・ようすけ)1992年(平4)10月24日生まれの21歳。沖縄県宜野湾市出身。志真志小2年から「志真志ドラゴンズ」で野球を始める。嘉数中では軟式野球部所属。興南では1年夏からベンチ入りし、エースとして2年春から4季連続で甲子園出場。10年に史上6校目の春夏連覇を果たす。中大では1年春から登板し11年春に新人賞。今春までリーグ戦通算11勝19敗。1メートル73、71キロ。左投げ左打ち。

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