金子 M阻止!CS決めた14勝目 3年前の苦い思い出糧に

[ 2014年9月18日 05:30 ]

オリックスの金子

パ・リーグ オリックス10-4ソフトバンク

(9月17日 京セラD)
 試合後。オリックス・金子は「ごめんな」と佐藤達の体をポンと叩いた。9回に3連打を浴びるなど2失点して、2試合連続完投は逃した。それでも、エースの意地と矜持(きょうじ)の詰まった121球だった。

 「チームがなんとか勝ったので救われた。どんないい投球をしても、勝たなければ意味がないので」

 立ち上がりは完璧だった。3回まではパーフェクト投球。2点の援護をもらった直後の4回、李大浩(イ・デホ)に同点2ランを浴びた。しかし「同点だったので、また初めから」とすぐに切り替え、5~8回は一人の走者も許さなかった。つまり、4、9回以外の7イニングを3者凡退で仕留めた。

 前夜は5回途中でKOされた西がマウンドで号泣して崩れ落ちた。「何としても勝たなければ、と思った」と、後輩の涙の分も腕を振り続けた。ただ、「大事(な試合)と思いすぎると硬くなる。試合ごとに気持ちを変えて投げては駄目。そうならないように春先からやっている」と言った。それは3年前の苦い思い出があるからだ。同年の最終戦となった10月18日のソフトバンク戦(京セラドーム)。勝てばクライマックスシリーズ(CS)進出が決まる一戦に先発したが、6回途中4失点でKOされ、チームもCS進出を逃した。力めば投球フォームが崩れる。だから、勝たなければ自力優勝の可能性が消滅し、ソフトバンクに優勝マジックが点灯する崖っ縁の一戦でも、マウンド上で「平常心、平常心」と自らに言い聞かせるようにつぶやき続けた。

 8月24日に国内FA権を取得した日本球界No・1投手には、今オフに激しい争奪戦が予想される。この日はフィリーズのルーベン・アマロGMも視察に訪れるなど、メジャーも熱視線を送り続ける。金子の14勝目でチームは3季ぶりのシーズン勝ち越しと6年ぶりのCS進出が決まった。それでも、森脇監督は「貴い権利を獲得したが、我々が目指しているのはリーグ優勝。日本一しか見ていないから、通過点」と言えば、金子も「(CSに)出ることを目標にしていない」。その視線の先にあるのは18年ぶりのリーグ優勝と日本一だけだ。

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