大谷CSへカーブ隠しても完封「全部の球種使わないように」

[ 2014年9月14日 05:30 ]

<日・オ>11勝目のポーズをとる大谷

パ・リーグ 日本ハム1-0オリックス

(9月13日 札幌D)
 日本ハムの大谷翔平投手(20)が13日のオリックス戦で今季2度目の完封勝利で、11勝目をマークした。味方の援護は1点だったが、要所でギアを入れて初の1―0完封。最速158キロを記録する一方で、カーブはほとんど使わず、クライマックス・シリーズ(CS)で対戦する可能性がある相手に、手の内を隠した投球でねじ伏せた。大リーグで1918年にベーブ・ルース(レッドソックス)がマークした「13勝&11本塁打」にも、また一歩近づいた。

 ここが勝負どころだと分かっていた。0―0の7回。「もう一段階、力を入れて流れを持っていきたかった」と、大谷がスイッチを入れた。4番・ペーニャは152キロの直球、T―岡田は139キロのフォークで空振り三振。最後も坂口を154キロの直球で、圧巻の3者連続空振り三振に斬った。すると、大谷の思惑通り、直後の攻撃で大引の決勝打が生まれた。

 8回無死一、三塁のピンチでは、中田の好守にも助けられ、スコアボードに9個のゼロを並べた。札幌ドームでは初完封。「1―0で勝てたのはうれしい」。背番号と同じ11勝目は格別だった。

 CSのファーストステージで対戦する可能性が高い2位・オリックスと今季2度目の対戦。今季最長の中9日の登板間隔に「久々にあまり良くなかった」と振り返った大谷だが、そんな中でも手の内を隠していた。「CSでやるかもしれない。全部の球種を使わないように(捕手の)大野さんがうまく配球してくれた」。この日投じたカーブはわずか2球。その2球は勝負どころと踏んだ7回にいずれも使った。

 普段は1試合で10球以上投じるなど、カーブはカウントを整える際に活用する軸球の一つ。110キロ台のカーブを「封印」したことで、次にCSで対戦する時の投球の幅が広がった。相手の目が慣れていないカーブを効果的に使うことで、150キロ台後半の直球との緩急がより生きる。恐るべき20歳。栗山監督も「1―0は俺が求めているところ。よく頑張った」と思わず表情を緩ませた。

 スタンドには、ダイヤモンドバックスとフィリーズのスカウトの姿もあった。今季は残り18試合で、順調にいけばレギュラーシーズンの登板機会はあと2試合。メジャーからも注目を集める男は、あと2つ白星を積み重ねれば、1918年に大リーグで同一シーズン「13勝&11本塁打」を達成したベーブ・ルースの記録に勝ち星で並ぶ。

 ルースについては「映画で見た ことあります」というほど の知識で、ほぼ人ごとのような大谷だが、お立ち台でその話題を振られると、照れながらも力強く言い放った。「何とか1本でも(本塁打を)多く打ちたいですし、きょうのような投球も続けていきたい」。無欲の20歳の進化はまだまだ止まらない。

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2014年9月14日のニュース