球場手違い…なぜか中日応援歌 巨人その7回に長野満弾で逆転

[ 2014年9月7日 05:30 ]

<ヤ・巨>7回1死、逆転満塁弾を放ちベンチの祝福を受ける長野(左から2人目)と笑顔の片岡

セ・リーグ 巨人5-2ヤクルト

(9月6日 神宮)
 巨人・長野久義外野手(29)が6日、ヤクルト戦で1―2の7回1死満塁で逆転の12号グランドスラムを放った。長野は自身3本目の満塁弾で、右膝関節挫傷から先発復帰した2日の広島戦(長野)から5試合中4試合で打点、2試合でV打を放つ勝負強さを発揮。チームは、2位広島との3ゲーム差を堅守。7日にもリーグ3連覇に向けた優勝マジック「19」が再点灯する。

 ヒーローインタビュー。試合終盤から降り出した雨にずぶ濡れになりながら、長野は「皆さん、風邪をひかないように」とファンを気遣う言葉で締めた。

 「チャンスだったのでいくだけだった。井端さんがつくった良い流れに自分も乗れました」

 ワンチャンスをものにした。0―2で迎えた7回。攻撃前には球場の手違いで中日の応援歌「燃えよドラゴンズ!」が流れた。巨人ファンからブーイングも飛び交う中、1死満塁で代打井端が中前に転がして1点差。その直後に、長野に打席が回ってきた。「1点入って1死満塁と、1点も入らずに2死満塁では打席に入るプレッシャーが全然違う。気持ちが楽になった」。だから石山が投じた初球を迷いなくフルスイングできた。甘く入った141キロを叩いた打球は左中間席に飛び込み、逆転のグランドスラムとなった。原監督も「チョーさん(長野)のは見事としか言いようがないね。なかなか打てる打球じゃない」と絶賛。長野は3日の広島戦(前橋)でも代打井端の適時打の直後に11号2ラン。「井端さんから“またこのパターンだな”と言われました」と笑った。

 苦い思い出を振り払った。神宮球場は8月21日に右膝関節を痛めた場所だ。5―5の9回1死一、二塁で右中間への飛球を決死のランニングキャッチした際に負傷。まだ完治はしていないが、「痛くても出なきゃいけない試合がある」と首位攻防戦となった2日の広島戦(長野)で10試合ぶりに先発復帰。それ以降、5試合中2試合で決勝打を放ち、20打数6安打、2本塁打、8打点と打線をけん引する。

 強力なアイテムが支えている。8月29日のDeNA戦(横浜)の試合前。井端が昨季からサポートを受けているドイツの医療用装具メーカー「バウアーファインド」の担当者に、「右膝の内部に痛みがあって、動きの局面、局面で痛みが走るんです」と救いの手を求めた。NBAのコービー・ブライアントらも使用する、適度な圧迫で痛みを抑える同社の膝関節サポーターを着用すると、痛みは軽減された。この日も6回に四球で出塁すると、坂本の左越え安打で一気に三進。「出るからにはしっかり走らなきゃいけない」と口にした。

 今季は開幕3番でスタートしながら不振もあって、2番以外の全打順を経験した。それでも優勝争いの佳境の9月にリードオフマンとして復活し、規定打席に到達している中では得点圏打率はチームトップの・333。「まだできると思う。まだまだ、打ちたい」。ピカ一の勝負強さは「元祖チョーさん」の長嶋茂雄氏にも引けを取らない。

 ≪最短7日M19再点灯≫首位巨人、2位広島がともに勝ったためマジックは消えたまま。再点灯は早ければ7日。条件は巨人がヤクルトに勝ち、広島がDeNAに敗れM19が出る。

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