打撃も冷静も高卒新人離れ…西武・森、目標は「打てる捕手」

[ 2014年8月26日 10:50 ]

街並みを背にポーズをとる森(撮影場所・札幌プリンスホテル)

 西武のドラフト1位・森友哉捕手(19)が、高卒新人離れした打撃を見せている。14日のオリックス戦(西武ドーム)でプロ初本塁打を放つと、高卒新人では史上3人目の3試合連続本塁打を記録。身長1メートル70と小柄でも、大阪桐蔭で甲子園を沸かせたパワフルな打撃がプロの世界でも通用することを証明した。巨人の阿部慎之助捕手(35)を目標に「打てる捕手」を目指す19歳に迫った。

 ――高卒新人でプロ野球史上3人目の3試合連続本塁打を記録。代打本塁打も2本あった。

 「あれだけいい結果を出せるとは思っていなかったですけど、数少ないチャンスだったので、何とかチャンスが来れば、ものにしたいなと思っていた。しっかり自分のスイングをした結果、最高の形になったので、それはそれで良かったのかなと思う」

 ――3本のうち、2本は高めのボール球の直球。高めの球に強い。

 「そういうことはない。好きなコースは特にない。高めはあまり好きではないが、ただ、打ちたいという気持ちが良い方向にいったのかなと思う」

 ――捕手だけに相手のバッテリーの配球を読んで打っているのか。

 「来た球を打つだけです」

 ――対戦した日本ハムの栗山監督が鋭いスイングを見て「木製バットが金属バットのように見える」と驚いた。高校(大阪桐蔭)までは金属バットだが既に木製バットを使い慣れている。

 「高校の時の練習では木で打ったりしていた。1年生の冬ぐらいから。ティー打撃とか、フリー打撃でも、打撃練習では木を使っていた。ほとんど全員」

 ――大阪桐蔭2年時に1年先輩の藤浪(現阪神)とバッテリーを組んで甲子園春夏連覇。大舞台に慣れている。

 「慣れているかどうかは分かりませんが結構好き、大舞台が。やりがいがあるというか。やってやろうという気持ちになる」

――あらためて、どういう選手になりたいか。

 「打てるキャッチャーですね。いつかはクリーンアップを打てる打者になりたいです」

 ――打てる捕手といえば、巨人の阿部。森選手と同じ左打者でもある。

 「小さい頃は意識していなかったんですけど、高校になると、打てるキャッチャーというのは阿部さん。打つ方では阿部さんを意識というか、目標にやってきた」

 ――身長は1メートル70。プロ野球選手としては決して大きくない。体が小さいことで、プロ野球選手を目指すことを諦める人も多い。

 「別に身長は小さいですけど、それで苦労したところはないですし、身長が大きい人と比べて、飛距離やパワーは変わってくるかもしれないですけど、それ以外のところで補えればいいと思っている」

 ――それ以外とは。

 「小柄な選手はスピードが求められてくる。そういうところでカバーできていければいいと思う。小さいからできることもたくさんある。細かい動きとか」

 ――細かい動きとは具体的に。

 「体の回転とか、腕も短いのでボールに力を伝えやすい。逆にインコースがさばきやすい」

 ――1軍に初めて昇格したのは7月末だった。

 「焦りはなかったですね。まずはファームでキャッチャーとしての経験を積んで、いろいろコーチからも教えてもらったりして、土台づくりをしっかりできればいいかなと思っていた」

 ――昇格当初は「緊張ばかり」と話していたが、1軍に慣れたか。

 「だんだん慣れてきました。雰囲気もですね」

 ――1軍昇格後、体重が2キロ増えたと聞く。

 「1軍は朝からは練習しない。わりと涼しい中での練習や試合になるので食べられるといえば、食べられます。量が増えた」

 ――1軍での出場機会は代打に限られている。捕手として出場するために何が足りないか。

 「キャッチングもそうですし、一番はやっぱり、配球という部分でまだまだスタメンマスクをかぶれる実力がない。今は(炭谷)銀仁朗さんのキャッチャー姿を多く見て、吸収できればいいかなと思う」

 ――プロと高校の打者の違いは。

 「甘い球が来れば簡単に打たれますし、なかなか三振も取れない。高校とは全く別格ですね。高校は正直、1番とクリーンアップだけに集中していれば何とかなるんですけど、プロ野球は、そうもいかない。1番から9番までいいバッターがそろっている。気が抜けない」

 ――炭谷は両リーグトップの盗塁阻止率・442。学ぶことは多いか。

 「同じ試合前の練習とか、ご一緒させてもらって、全然ミスとかないですし。動きにもムラがなく、凄いスピードでされているので、日々勉強させてもらっています」

 ――藤浪だけではなく日本ハムの大谷、同学年の松井裕(楽天)とも18Uワールドカップでバッテリーを組んでいる。プロの世界でも、3人と国際舞台でバッテリーを組む日がいずれ来る。

 「いずれはやりたいですけど、まずはライオンズの正捕手として活躍できることが大前提なので、そこをまず目指していきたいです」

 ◆森 友哉(もり・ともや)1995年(平7)8月8日、大阪府堺市生まれの19歳。小1から「庭代台ビクトリー」で野球を始め、投手。東百舌鳥中時代は堺ビッグボーイズの正捕手として3年時の全国大会で準優勝。大阪桐蔭では1年秋から正捕手を務め、2年時に甲子園春夏連覇。3年時は春、夏ともに3回戦敗退も歴代4位タイの春夏甲子園通算5本塁打。高校通算41本塁打。昨年、ドラフト1位で西武に入団。血液型A。遠投100メートル。1メートル70、80キロ。右投げ左打ち。

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