呉昇桓 独走の32S 安心の守護神、1点差あれば勝てる

[ 2014年8月22日 05:30 ]

<神・中>最後を締めた呉昇桓(中央)はヒップタッチで喜ぶゴメス(左)らナインと勝利の儀式

セ・リーグ 阪神5-4中日

(8月21日 京セラD)
 阪神は21日の中日戦(京セラドーム)に逆転勝利。連勝を4に伸ばし、今季最多の貯金10とした。巨人がヤクルトに勝利したため今季初の奪首はならなかったが、勢いは本物だ。進撃の象徴である新守護神・呉昇桓(オ・スンファン)投手(32)が9回を無失点に抑えて32セーブ目をマーク。4番・ゴメスが決勝打と、22日から始まる広島、巨人との敵地6番勝負へ向け、最高の弾みをつけた。

 「頂」が見えかけた時、やはりマウンドにいたのは背番号22だった。ぐっと結んだ口元。力の限り腕を振った。1点差の9回、呉昇桓がきっちりと仕事を果たした。

 「きょうは、自分が投げる前から、ブルペンのみんなが抑えていたし、チームも連勝していたので、いつも以上に集中して投げた」

 気迫は「石直球」に乗り移った。先頭の高橋周を2球で追い込むと、146キロで空振り三振と迷わずの3球勝負で仕留めた。続く谷繁には四球を与えたものの、大島を内角への148キロで見逃し三振。最後は谷を右飛に打ち取ってリーグトップを独走する今季32セーブをマークした。

 プロ初先発の金田が5回2失点と粘り、6回からは継投に移った。首位・巨人は3点リードの6回に、ヤクルトに4点を奪われ一時逆転された。このままいけば今季初の首位に立つ…。しかし、阪神も中日打線の反撃を食らい、最大3点差を1点差まで詰め寄られた。流れが徐々に相手へ傾いていく中で最後のトリデがきっちりと、役割を果たし、チーム一丸の勝利を締めくくった。

 巨人が再び逆転し、奪首は持ち越しとなったが、呉昇桓の存在がチームを大きく支えている。昨年は固定できなかった守護神の座を託され、ここまで安定感ある投球を続けている。

 しかし、韓国通算277セーブを積み上げ、サムスンでは「韓国一」を手にした男も、異国の地での挑戦に少なからず不安はあったという。そんな時、手を差し伸べてくれたのがチームメートだった。「開幕直後は福原さん、安藤さんが登板前に必ず声をかけてくれた。本当にありがたかったし、自分もそれで力を発揮できたと思う」

 マウンドでは表情を崩さない男は、感謝の思いを白球に込め、並み居る強打者を次々となぎ倒していった。だからこそ、次に自分にできることはないか考えた。「自分がそうしてもらって気持ちが楽になったからね。できる限り声をかけている」

 歳内、鶴、二神ら若手投手が先発する日には必ず練習前に声をかけるようになった。16日のDeNA戦(横浜)で秋山がKOされると、試合後に食事に誘って励ました。チーム一丸の姿勢を体現した。

 「これからも一戦、一戦大事になってくるから、しっかり投げていきたい」。猛虎を歓喜の秋へと導くのはこの男しかいない。

 ≪今季は1点差試合に21勝10敗≫阪神が5―4で中日に勝利。今季は1点差試合に21勝10敗と強く、勝率・677はリーグトップ。また、過去2年と違いセーブをマークしている投手は呉昇桓のみ。守護神につなぐパターンを確立したことで、接戦をものにしている。

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