阪神・金田“谷間”プロ初先発で勝った!一発浴びて「何となく落ち着けた」

[ 2014年8月22日 05:30 ]

<神・中>地元鹿児島の先輩・福留(左)と笑顔で握手する金田

セ・リーグ 阪神5-4中日

(8月21日 京セラD)
 その名にたがわず、プロ初先発の阪神・金田が「金」星を挙げた。今季ここまで救援で32試合に投げていた2年目右腕は、先発ローテーションの谷間で5回2失点、6奪三振の力投。プロ初先発を白星で飾った。

 「こういうチーム状況。勝ちを付けたい思いだった。初回に点を取られたので(自己採点は)60点だけど、その後は抑えられて良かった。ウイニングボールは両親に贈りたい」

 初めて上がったお立ち台で、試合中はこわばっていた顔をほころばせた23歳。試合開始前、真新しいマウンドを何度もスパイクでならした。初回にいきなりルナに2点本塁打を浴びた。初回を投げ終え戻ってきたベンチ。鹿児島出身で同郷の先輩、福留から「緊張してるのか?」と問われ、「ホームランを打たれて何となく落ち着けました」と答えた。以降は1安打しか許さなかった。

 決め球は大半が直球だった。元来は速球を微妙に動かす投球スタイルだが、5月の2軍落ちを機に「球を力強く投げよう」と、荒れ気味の球に頼っていた過去の投球と決別した。しっかり左足に重心を移す投球フォームを模索した。以前のぎごちなさは解消され、副産物として制球力が格段に向上。この日の四球は1つだけだった。

 開幕前に掲げた目標は「30試合登板」。今月13日の巨人戦(東京ドーム)で早々と達成すると、「これで満足してはいけないと。シーズン最後まで1軍にしがみついていきたい」と気持ちを切り替えた。そして巡ってきた先発のチャンスで結果を残した。和田監督も目を細め、「うれしい悩み。いろいろ考えることが増えた」と今後のローテーション入りの可能性にも含みを持たせた。

 首位巨人も勝ったため、今季初の奪首はならなかった。ただ、今季はこれまで首位浮上が懸かった4試合で全敗。責任投手が岩崎(2度)、岩貞、岩田だったことで「お岩の呪い」ともやゆされたが、金田がついにその呪いを解いた。「きょうみたいにテンポ良く投げて、またチームに勝ちを付けたい」。チームは4連勝で、貯金を今季初めて2桁の10に乗せた。勢いは巨人より断然上だ。

 ▼阪神・中西投手コーチ(金田に)よく投げた。2回以降はリリーフのつもりでいけていたんじゃないか。

 ◆金田 和之(かねだ・かずゆき)1990年(平2)9月18日、鹿児島県生まれの23歳。小3から野球を始め、投手と三塁手。財部中1年から本格的に投手を始める。都城商では3年夏の宮崎大会で初戦敗退を喫し、甲子園出場はなし。大阪学院大では4年春から秋にかけての関西六大学リーグ戦で6試合連続完封を達成。12年にドラフト5位で阪神に入団。1年目の昨季は1軍登板なし。1メートル84、81キロ。右投げ右打ち。

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