阿部ヤジのおかげV弾「花火見てないで素振りしろ!」

[ 2014年8月20日 05:30 ]

<ヤ・巨>11回2死二塁、左越えに勝ち越し2ランを放つ阿部

セ・リーグ 巨人6-4ヤクルト

(8月19日 神宮)
 巨人の阿部慎之助捕手(35)が19日、ヤクルト戦の延長11回に決勝の13号2ランを放った。試合中にファンから痛烈なヤジを浴びたが、それに発奮して左翼席へ値千金の一発を打ち上げた。チームは6―4で逆転勝利を収め、連敗を2でストップ。負ければ2位の阪神に半ゲーム差まで詰め寄られる危機を主将の一打が救った。

 最後は体中に称賛の言葉を浴びた。敵地でのヒーローインタビュー。「慎之助、格好良かった!」。「慎之助、最高です!」。巨人ファンから次々と声援が飛ぶなかで、阿部は興奮気味に決勝弾を振り返った。

 「まさか(スタンドに)入ると思っていなかった。なんとかヒットになればと思っていた。ランナーを還すことができて良かった」

 4番の仕事は延長11回だった。2死二塁と勝ち越しの好機。2―2から久古の外角133キロ直球をしっかりと叩いた。逆方向に飛んだ打球はオレンジ色に染まる左翼席に消えた。

 自身初のシーズン2度目の延長弾。試合後。大粒の汗を拭いながら「何で打てたか教えてあげようか?」と秘話を明かした。それは5回終了時。神宮の夜空を花火が彩っていたときだった。見知らぬ男性が三塁ベンチ上の通路まで駆け寄り「阿部と坂本は花火を見てないで素振りしろ!」と、痛烈なヤジを飛ばした。

 「おれは花火は見てなかったんだけどね。わざわざ(言いに)来てくれた。俺のおやじかと思ったよ」。2打席凡退の自身を目覚めさせた一言を、ちゃめっけたっぷりに振り返る余裕があった。

 7日のDeNA戦(横浜)から一塁で先発出場。首脳陣は打撃を復調させるため、捕手よりも負担の少ない守備位置に就かせている。その意図を阿部も理解。5日の同戦からは通常より先端に重心を置いたバットを使用した。飛距離を伸ばすためによりヘッドを効かせるためだ。さらに8日の中日戦(東京ドーム)からは先端をくりぬき10グラムほど軽くすることで操作性も兼備させた。7日以降の11試合では打率・302まで復調。勝負強い打撃が戻ってきた。

 3試合ぶりの2桁となる14安打を放った打線は9回2死から同点に追いつき、延長戦に持ち込んだ。この粘り強さには原監督も「非常に大きい」と評価。2位阪神と3位広島も勝利した中で、最下位ヤクルトとの接戦を制した。「(阪神や広島の結果を)気にして試合をしてないよ。一戦必勝でやっていく」と阿部。その背中には頼もしさが戻ってきた。

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2014年8月20日のニュース