佐久長聖・竹内 師匠のじじに贈る先制弾&V打「うれしい」

[ 2014年8月15日 05:30 ]

<佐久長聖・東海大甲府>4回2死、佐久長聖・竹内が左越え本塁打を放ち、雄叫びを上げる

第96回全国高校野球選手権1回戦 佐久長聖3―1東海大甲府

(8月14日 甲子園)
 じじ、打ったよ。甲子園でホームラン。夢じゃないよ――。佐久長聖の5番・竹内はアルプス席に向かって、はじけんばかりの笑みを届けた。「打てるとは思ってなかった。うれしくて、うれしさしかない。じじも喜んでくれると思う」

 チームと、祖父のために打った。4回だ。併殺でチャンスがしぼんだ2死無走者から内角高めの直球を振り抜く。打球は左翼席へ。公式戦初アーチが先制弾となった。同点の6回2死三塁でも左前へ決勝タイムリー。2打点で佐久長聖を12年ぶりの夏1勝、さらに、北信越最後の出場校としての白星で大会史上初の全5県初戦突破に導いた。

 物心つく前、まだ保育園だった竹内は祖父・守橋貫治さん(79)にバットとグラブを買ってもらった。その日から野球を教わってきた。貫治さんは自身が経営する会社「協和工芸」の野球部監督兼選手。工場倉庫の壁に丸印をかいて「ここへ当てるんだ」と言われ、自宅から隣町の倉庫へ毎日のように通った。「楽しかった」。捕手だった祖父には、幼少時代から配球や狙い球の絞り方も教えられた。それを生かしたのが6回の決勝打。直前のスライダーを空振りし「必ずもう1球来ると思った」という。

 高校進学時「(地元の佐久)長聖でやってほしい」という祖父の願いが決め手に。不振で生まれて初めてレギュラーを外された今春、己の甘さに気付き、猛練習で背番号7を取り返した。全ては甲子園で勇姿を見せるためだ。そんな孫をアルプス席で見守った貫治さんは「この年になってこんな楽しみをもらえると思わなかった。孫に感謝したい」。母校PL学園の監督から12年に赴任した藤原弘介監督も「よう打ってくれた。練習の成果」と称賛した。

 じじと孫の夏。夢の舞台はまだまだ続く。

 

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