松井裕 先発1勝 強力ソフトB打線斬りに闘将「立派」

[ 2014年8月14日 05:30 ]

<ソ・楽>7回2失点9奪三振の力投で待望の先発初勝利、プロ2勝目を挙げた松井裕

パ・リーグ 楽天7-4ソフトバンク

(8月13日 ヤフオクD)
 9度目の正直だ。楽天のルーキー左腕、松井裕樹投手(18)が13日、9連勝中のソフトバンク戦に先発し、7回を4安打2失点と好投。強力打線から自己最多の9三振を奪い、今季2勝目、先発では待望の初勝利をマークした。負ければ、自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出が消滅するなか、チームの連敗を6でストップ。星野仙一監督(67)の前で初めて勝利投手になった。

 グラブを叩いた左手を握り、ド派手なガッツポーズをつくった。松井裕は心の底から雄叫びを上げた。「よっしゃ!」。7回に2点を失い、なお1死一、二塁から中村を二ゴロ併殺。やっと、先発で勝てた。やっと、プロ2勝目を手にできた。

 「星野監督が7回も続投させてくれたので、その思いに応えたかった。球は走ってなかったですが気持ちで抑えました」

 プロ最多の133球で7回を投げ切り4安打2失点。初回は15球中で直球は6球だったが、2回は13球中10球。配球を変え、強気に押した。6回は今宮、内川、李大浩(イ・デホ)から3者連続三振を奪うなどこちらもプロ最多の9奪三振。最速147キロ(自己最速は150キロ)もスピンが利いて伸びた。

 前回6日のロッテ戦(QVCマリン)は6回途中2失点で勝利投手の権利を持って降板も中継ぎ陣が9回の5点リードを守れず、まさかのサヨナラ負け。9度目の先発でつかんだ勝利の記念球は大事にポケットにしまった。

 5月下旬に持病の腰痛が悪化し、6月中旬に「胸椎の黄色じん帯骨化症」などの手術を受けた星野監督は7月25日の日本ハム戦(コボスタ宮城)で約2カ月ぶりに現場復帰。同日、松井裕に待望のプレゼントが届いた。指揮官の休養中に手にしたプロ初勝利を記念する腕時計だ。フランスの高級ブランド「ミッシェル・エルブラン」のもので約40万円。色はネービーで文字盤の横には指揮官と自身の背番号にちなみ「FROM 77 TO 1」の文字が刻まれていた。ただ「まだどの服に合わせたらいいか分かりません」と18歳らしい一面ものぞかせる。

 これで星野監督が復帰後、松井裕は先発3試合で計19回1/3を投げ、防御率1・84。負ければ自力CS進出の可能性が消えていた窮地で首位のソフトバンクの連勝を9、チームの連敗を6で止めた。依然、2桁借金で最下位の指揮官も「7回を乗り越えないと勉強にならんと思った。よかったよ。あの打線を7回まで2失点は立派」と評した。

 ヒーローインタビューでは、つらかった日々が頭をよぎった。「(4月24日から6月5日まで)2軍で練習して、(7月は主に)中継ぎをやらせてもらって、先発に戻ってこれた。1日も無駄な日はなかったと思います」。全てを糧にする。それが松井裕の野球人生だ。

 ≪田中、釜田に次いで3人目≫高卒新人の松井裕(楽)が先発7回を2失点に抑え今季2勝目。先発では初めてで、楽天の高卒新人の先発勝利は07年田中11勝、12年釜田7勝に次いで3人目。

 ≪10代で大型連敗止めは初≫チームの連敗は6でストップ。松井裕は現在18歳9カ月だが、過去に楽天で6連敗以上を止めた最年少は09年6月11日中日戦(前日まで6連敗)の田中で20歳7カ月。10代でチームの大型連敗を止めたのは松井裕が初めてだ。

 ≪3割打者5人斬り≫この日の奪三振は自己最多の9。長谷川2、中村、内川、李大浩、柳田各1と規定打席に達した3割打者からもれなく奪取。今季1試合でこの5人から三振を奪ったのは松井裕のみ。

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