春日部共栄・金子 ケンカ投法 頭にお尻に“ぶっつけ”最終調整

[ 2014年8月9日 05:30 ]

ブルペンで調整する春日部共栄・金子

 第96回全国高校野球選手権大会は、9日に今年で90周年の節目を迎えた甲子園球場で開幕する。開幕戦では9年ぶり5度目の出場となる春日部共栄(埼玉)が、史上8校目の春夏連覇を狙う龍谷大平安(京都)と対戦。エース左腕の金子大地投手(3年)は強力打線相手に大胆な内角攻めを宣言した。開幕前日の8日は同球場で開会式のリハーサルが行われた。

 恐ろしいほど気合の乗った最終調整だ。兵庫・鳴尾浜球場のブルペン。春日部共栄のエース金子のボールが右打者の腹をかすめ、プロ注目捕手・守屋の頭部に当たった。次に左打者が立つと、今度はお尻を直撃。通常はあり得ない2つの死球こそが仕上げだった。

 「チームメートには申し訳ないけど、当てたことは気にしない。それくらい厳しく内角を攻めないといけないから」

 心優しい優等生の金子には、およそ似合わないセリフだ。でも、そこに強豪・龍谷大平安封じの秘策がある。今春センバツは5試合で43得点。その強打をどう抑えるか。今夏の京都大会準々決勝以降の3試合のビデオを何度も見た。「甘い球は見逃さず、詰まっても外野の前に落とす。豪快かつ繊細な打線」と分析。封じるには内角、それも懐をえぐる球が必要だ。

 左のスリークオーターから切れと制球で勝負する金子。肘を柔らかく使う独特のフォームは、相手の原田英彦監督も「あまりお目にかからない投手。(対策の)練習ができない」と警戒する。金子は春日部共栄OBで93年夏の準優勝投手、元西武の土肥義弘氏(現評論家)の指導を今春から週1回受け「投球の組み立てとか勉強になる」。その偉大な先輩直伝の配球で厳しい内角球を最大限に使う。

 開幕戦で、しかも相手はセンバツ王者。本多利治監督は「接戦以外に勝ちはない」と言った。全てを自身の左腕に託され、金子はこう結んだ。「土肥さん(準優勝)を超えたい。それには目の前の敵を倒していくしかない」と。

 ◆金子 大地(かねこ・だいち)1996年(平8)7月25日、千葉県生まれの18歳。小3から野球を始め、小金中では軟式野球部に所属し最高成績は県8強。春日部共栄では1年秋からベンチ入り。趣味は音楽鑑賞。将来の夢はプロ野球選手。50メートル6秒9、遠投100メートル。1メートル75、78キロ。左投げ左打ち。

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2014年8月9日のニュース