打者転向5年でついに…雄平 初満弾 コーチも驚く練習量で開花

[ 2014年8月3日 05:30 ]

<ヤ・中>3回1死、左翼ポール直撃の満塁本塁打の雄平(中央)はナインの出迎えを受ける

セ・リーグ ヤクルト9-0中日

(8月2日 神宮)
 ここまで来た。こんな打球を打てるまでになった。野手転向5年目。左翼ポール際に伸びていった一打が、ヤクルト・雄平の強打者への仲間入りを証明していた。

 「切れるかな、と思ったけど切れなくてよかったです。ボールに負けないで打てました」

 3回1死満塁。1ボールから中日・山井の外角高めのシュートに、体が自然に反応した。腕を伸ばし、スイングはコンパクトに。バットの芯で叩いた打球は、左翼線上空を一直線に伸び、切れることなく左翼ポールに当たった。チームを2カ月ぶりの3連勝へ導く今季16号は、自身初のグランドスラム。「初めてだから本当にうれしい」。そう満足げに振り返る雄平には、もう投手への未練はみじんもなかった。

 思えば09年オフ、投手からの転向は苦渋の決断だった。投手時代、打撃センスを高く評価する杉村打撃コーチから「野手になったらすぐ1億円プレーヤーになれるぞ」と言われると、雄平は「投手で3000万円の方がいいです」。それほどこだわった投手をプロで生き残るために断念。それからバット一本にかける執念はすさまじかった。右膝手術でシーズンを棒に振った昨年。オフの間も黙々とバットを振った。「まさに野球小僧。とにかく練習する」。杉村コーチも驚く練習量が野手の経験不足を補い、外角高めを切れずに本塁打にできるまでになった。

 この満塁弾でプロ通算19本塁打。投手での18勝を上回った。でも、雄平は言う。「その数字は関係ない。投手より長く野手をやりたい」。7年の投手生活を超えるまで、あと3年。打者・雄平はまだまだ成長する。

 ▼ヤクルト・ナーブソン(7回無失点で2カ月ぶりの3勝目)狙い通りに打者をゴロでアウトに取れた。

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