バンビ2世だ!東邦1年生エース藤嶋完投「伝説」再び

[ 2014年8月1日 05:30 ]

東邦の藤嶋

第96回全国高校野球選手権愛知大会決勝 東邦4―2栄徳

(7月31日 岡崎市民)
 「バンビ伝説」再び!第96回全国高校野球選手権大会(8月9日から15日間、甲子園)の愛知大会決勝が31日に行われ、東邦が4―2で栄徳を下し6年ぶり16度目の優勝。全49代表校が出そろった。東邦の1年生右腕・藤嶋健人投手が7安打2失点、11奪三振で完投。37年前の第59回大会で同校を準優勝に導き「バンビ」の愛称でアイドル的人気を誇った1年生エース坂本佳一をほうふつさせる新星が、スター候補に名乗りを上げた。

 最後の打者を二ゴロに打ち取ると、背番号10の1年生エース藤嶋は両手を高々と突き上げた。マウンドで軽く跳躍。瞬く間に先輩たちにもみくちゃにされた。6年ぶりの甲子園切符。古豪の期待を背負う男は「先発は朝に言われた。1点先に取られたけど、先輩たちがいるので最後まで自信を持って投げられた」と初々しく笑った。

 東邦の1年生エースといえば、77年の夏の甲子園で1年ながら背番号「1」をつけて準優勝した「バンビ坂本」の姿がダブる。37年の時を経て誕生した新星は「坂本さんの話は聞いたことがあります。準優勝した凄い投手だったと聞いているし“バンビ2世”と言われるのはもちろんうれしい」と声を弾ませた。

 事実上の決勝戦と呼ばれた5回戦ではセンバツ4強の豊川相手に3失点完投勝利。この日も8回に自己最速となる144キロをマークすると、横に変化するスライダーと縦のカーブを武器に栄徳打線から11三振を奪った。きゃしゃなイケメンタイプだった「初代」と違い、がっしりした体形で、「アンパンマン」と呼ばれることも多い。その一方で、森田泰弘監督は「とにかくマウンド度胸がいい」と1年生らしからぬ冷静な投球術を絶賛する。1点を先制された5回1死三塁では、打者がスリーバントスクイズを試みたのを瞬時に判断。外角高めに直球を放り込んで失敗を誘った。

 森田監督は坂本が活躍した77年のメンバーで、当時は主将で「4番・三塁」だった。中学時代の藤嶋に一目ぼれし積極的に勧誘。3年生右腕・大井との併用となっても、6月には「決勝は藤嶋先発」と決めていたという。「タイプが違うので比べられないけど、あの時の坂本はコントロールが良かった。藤嶋の方が馬力がある」と目を細めた。

 坂本は37年前、決勝史上初となるサヨナラ本塁打を浴び、優勝旗を手にすることはできなかった。それでも藤嶋は力強く「もちろん、甲子園に行くからには優勝です」。聖地に足を踏み入れる16歳の瞳はどこまでも輝きを放っていた。

 ▼中日・朝倉(99年度卒、99年に春夏出場)3年生は最後の大会なので、悔いのないように戦ってほしいと思います。

 ◆藤嶋 健人(ふじしま・けんと)1998年(平10)5月8日、愛知県豊橋市生まれの16歳。小学2年から野球を始め、最初から投手。東三河ボーイズでは全国経験なしも、昨年8月、野茂英雄監督率いる「ジュニアオールジャパン」のメンバーとして米ロサンゼルス遠征に参加。兄・大貴さん(19)も東邦野球部出身。1メートル75、77キロ。右投げ右打ち。

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