バレ 4年連続20発 苦手の能見から「気持ち良かった」

[ 2014年8月1日 05:30 ]

<神・ヤ>初回2死一塁、バックスクリーンに先制20号2ランを放ったバレンティンはダイヤモンドを一周する

セ・リーグ ヤクルト8-1阪神

(7月31日 甲子園)
 甲子園のバックスクリーンに吸い込まれた打球を見届けたヤクルト・バレンティンから、久しぶりの笑顔がのぞいた。初回2死一塁。試合前まで6打数無安打3三振だった能見の浮いたスライダーを見逃さなかった。

 「久しぶりの感触で気持ち良かった。ようやく能見投手から打つことができたね」

 悩んでいた。左アキレス腱痛で約1カ月離脱。7月13日に復帰したが、左手首痛も抱え、11試合で打率・229、1本塁打と本調子にはほど遠かった。持ち前の明るさも影を潜めた。苦境を打破するため、自ら動いた。この日の練習前、佐藤ヘッドコーチと杉村打撃コーチの元へ足を運んだ。

 「自分では昨年と同じように打っているつもりだけど、今の打撃はどうなっているのか?」

 昨季、60本塁打のプロ野球新記録を樹立した男がプライドを捨て、アドバイスを求めたのだ。苦しむ4番に、杉村打撃コーチは「ボールから距離を取ろう。体が前に突っ込みすぎているので、軸足にしっかり体重を乗せて打とう」と助言。「あんなことを言ってきたのは初めて」と言う同コーチは練習で自らトスを上げた。「タイミングの取り方を確認した。こうなっていたというのを認識できた」と感謝したバレンティンは、早速、第1打席で快音を響かせた。これには杉村コーチも「やっぱ天才だな」と舌を巻いた。

 自由奔放に見えるが、実は素直。前カード最終戦だった27日DeNA戦(神宮)後、クラブハウスに戻ると佐藤ヘッドコーチから「4番のやることはみんな見ている。できることをしっかりやろう」と声を掛けられた。守備、走塁面での緩慢プレーが目立っていたが「分かりました」と反省。今カードでは内野ゴロに全力疾走し、ファウルゾーンへの飛球は巨体を揺らして追いかけた。

 4年連続20号に到達し「ホント?次は4年連続30本を目指すよ」と上機嫌で言った。苦しんだ7月を終え、昨年18本塁打と量産した8月に入る。「いい月にしたいね。マタアシタ~!!」。豪快な一撃とともに、バレンティンに明るさが戻った。

 ▼ヤクルト・小川監督(バレンティンについて)彼が本塁打を打つと大きい。今年はなかなか乗っていけていないが、チームも勝ったし、最後(8回)も安打が出た。これで乗っていってくれないかなと思う。

 ≪最長はラミレスの11年連続≫バレンティン(ヤ)が20号。これで来日1年目の11年から31→31→60→20と4年連続20本塁打以上となった。外国人打者で来日1年目から最も長く20本塁打を続けたのは、01~11年ラミレス(ヤ7年、巨4年)の11年連続。ヤクルトで4年以上の連続は前記ラミレス、99~02年ペタジーニに次いでチーム3人目。

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