星稜 9回0―8から世紀の逆転サヨナラ!OB松井氏も感慨

[ 2014年7月28日 05:30 ]

9回裏の大逆転で2年連続の甲子園出場を決め、喜ぶ星稜ナイン

石川大会決勝 星稜9―8小松大谷

(7月27日 石川県立)
 ゴジラもびっくり、世紀の大逆転だ。第96回全国高校野球選手権大会(8月9日から15日間、甲子園)の地方大会は27日、11大会で代表校が決まった。石川大会決勝では星稜が9回に8点差を逆転し、小松大谷に9―8でサヨナラ勝ち。2年連続17度目の出場を決めた。群馬大会では3投手の継投によるノーヒットノーランで高崎健康福祉大高崎が、新潟大会でも日本文理が9回に逆転3ランでサヨナラ勝利するなど、各地の決勝戦で劇的な決着が相次いだ。28日は西東京、奈良など6大会で代表校が決まる。
【7月27日の結果 組み合わせ】

 うれし涙で、スコアボードに刻まれた「9」の表示がにじんだ。逆境ナインによる「神試合」。試合を決めた佐竹は「訳が分からなかった」と言った。9回、8点差を追いつき、なお2死一、三塁。快音を発して舞い上がった打球は、左翼手の頭上を越えた。

 打者一巡の攻撃をするぞ――。9回裏を前に星稜ベンチで、林和成監督は選手にそう言葉を掛けた。「冗談半分で…。(小松大谷のエース)山下投手の素晴らしい投球に手が出なかったので、私が選手以上に早く諦めていた」。無理もない。8回まで散発2安打の無得点で、スコアは0―8。先頭打者には村中主将を代打に送った。3年生には、せめていい形で高校野球を終わらせてやりたいという親心だった。

 その村中が四球を選び、ドラマの幕が開く。続く代打・今村も3年生。右中間への三塁打で最初の1点が入った。さらに2本の適時打で点差を縮め、エースの岩下に打席が回った。3回6失点で降板していた最速145キロのプロ注目右腕は、再登板した9回に3者連続奪三振。意地の続きは、こん身のスイングで左翼場外へ運んだ2ランだった。

 6―8。終わらない。終わらせない。「スタンドが最高の声援をしてくれたので、選手全員必死でやった」と村中。1死一、三塁から、指揮官の「打者一巡」を現実にした10人目の打者として遊ゴロで7点目を返した。今村が四球でつなぎ、村上の中前適時打でついに、ついに追いついた。

 13人の猛攻を見届けた林監督は「言葉にならない。まさかまさか…。まだ実感が湧かない」と興奮を隠さなかった。小松大谷は、昨秋県大会準々決勝で延長12回にサヨナラ負けしてセンバツ出場の道を断たれた相手。宿敵が相手だったから、今度も最後の一滴まで力を振り絞れた。

 星稜といえば79年の箕島(和歌山)との延長18回の死闘、92年の明徳義塾(高知)戦での松井秀喜の5打席連続敬遠…。夏の甲子園で演じた名場面は枚挙にいとまがない。その松井氏は「最後まで諦めなかった選手たちが素晴らしい。甲子園でも石川県代表として頑張ってください」とコメントを寄せた。地方大会の新伝説をつくった今年のナインが、次に見据えるのは98年を最後に遠ざかる全国1勝。奇跡の導火線となった村中主将は「僕らは日本一を目指してやってきたので、甲子園でまた校歌を歌います」と力強かった。

 ▼星稜・岩下(再登板の)9回は“よし、やるぞ”という気持ち。甲子園では立ち上がりからしっかり投げて、チームに流れを引き寄せたい。

 ▼楽天・島内(07年度卒)何が起きたんですかね。0―8まではチェックして“終わった”と思ったので、先輩から“凄いな”と言われるまで知りませんでした。この勢いで甲子園でも頑張ってほしい。

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