広島・福井 2年ぶり勝った!昨年死去父の墓前にやっと吉報

[ 2014年7月28日 05:30 ]

<広・神>お立ち台で特大マイクを福井(中央)に向ける菊池

セ・リーグ 広島6-1阪神

(7月27日 マツダ)
 9回のマウンドに上がる背番号11を、3万人を超す本拠地のファンは「福井コール」で後押しした。2死二塁、124球目で今成を投ゴロに仕留めた広島・福井はその瞬間、夜空を見上げた。

 「勝つまで長かった。福井コールがうれしく、正直泣きそうでした…」。12年8月4日の阪神戦(マツダ)以来、2年ぶりとなる勝利。ルーキー時代の11年以来、3年ぶりの完投勝利は、亡き父にささげる特別な1勝でもあった。かつてのドラフト1位右腕はお立ち台で声を震わせた。

 今季2度目の登板。初回、いきなりピンチに見舞われた。わずか6球で先制点を許し、なおも1死一、三塁。しかし、マートンを二ゴロ併殺に斬り「あれで落ち着けた」という。直球は最速148キロ。テンポを心掛け、自分を信じて腕を振った。9安打され、6度も得点圏に走者を背負ったが粘り強く投げ、初回の1失点だけで投げきった。

 昨年9月18日、父・俊治さんが54歳の若さで亡くなった。死因は脳内出血。夏の甲子園準決勝があった8月22日、兄がコーチを務める前橋育英を応援し、アルプス席で顔を合わせたのが最後だった。「もう少し活躍している姿を見せたかった」。新人時代、福井が登板する日には実家の岡山から片道4時間かけ、ほぼ毎試合応援に駆けつけてくれた父。墓前に吉報を届け、安心させたい。苦節2年。その一心で2軍暮らしを耐えてきた。

 「胸が熱くなった。待望の投手が出てきてくれた」。2位・阪神に勝ち越し、0・5ゲーム差と迫った野村監督は賛辞を贈った。福井にとっては再スタートの1勝。「これからが大事。慢心せずやりたい」。天国の父にもっと白星を届けるために――。

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