浅村で月間5度目サヨナラ 復帰後10打数無安打からやっと主役

[ 2014年7月24日 05:30 ]

<西・楽>9回2死満塁、サヨナラ打を放ち、チームメートの祝福を受ける浅村(中央)

パ・リーグ 西武2-1楽天

(7月23日 西武D)
 「さよならだけが人生だ」。井伏鱒二の訳詩に出てくる一説。西武がもはや「お家芸」となったサヨナラ勝利を飾った。

 「ここで決めてやろうと思っていたし、自分にとってもチームにとっても良かった」

 感慨深げに振り返ったのは浅村だった。同点の9回2死満塁。福山の外角低め150キロに食らい付いた。鋭い打球はダイブした右翼手の脇を抜けていった。ナインに水をかけられずぶ濡れになりながら、両拳を何度も突き上げた。

 復帰初安打、実に6月1日の中日戦(西武ドーム)以来の安打がチームに球団新記録となる月間5度目のサヨナラ勝利をもたらした。左膝半月板を損傷し、6月5日に出場選手登録を外れた。7月15日に復帰したが、この打席まで10打席無安打で、6回無死満塁では空振り三振に倒れていた。左足を高く上げる打撃フォームが浅村のスタイル。だが抹消直後は「足も上げられない」状態で、リハビリは歩行から始まった。長期離脱を覚悟で手術を受ける選択肢もあったが、ケガと付き合いながらプレーする自然療法を決断。食生活を改善し88キロへ2キロ減量し、復帰の道を探った。

 「不安だし、復帰しても自信は持てなかった。最悪の感じでした」。力をくれたのはファンの声援だった。18日のオールスター第1戦(西武ドーム)。8回に代打起用され、復帰後本拠地初打席に立った。左飛に倒れたが誰より大きな声援で迎えられた。「こんなに声援をいただき、やはりここで活躍しないと」。恩返しとばかりに自分のホームではじけた。

 過去4度のサヨナラ劇にはなかった浅村という強力なピースが加わり、最大15あったチームの借金は3カ月ぶりに8まで減った。「上は見ず、まずは一戦一戦」。帰還した昨季の打点王は正面を力強く見据えた。

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2014年7月24日のニュース