石仏にも笑顔!呉昇桓 日韓通算300S達成「特別な日」

[ 2014年7月22日 05:30 ]

<神・巨>日韓通算300セーブを挙げた呉昇桓はファンの声援に応える

セ・リーグ 阪神3-0巨人

(7月21日 甲子園)
 ハイタッチの嵐に石仏が笑った。阪神・呉昇桓(オ・スンファン)が3点リードの9回に登板し、無失点で今季23セーブ目をマークし日韓通算300セーブを達成した。

 「ああやってチームメートにハイタッチをしてもらって、特別な日になったと思う」

 ただ、笑顔はそこまでだ。韓国で歴代最多277セーブを積み上げ、日本球界でも1年目から最終回のマウンドに君臨。05年から481試合すべて救援登板してきた生粋のクローザーは「300セーブのためにやってきていない」と節目にも関心を寄せない。

 「300個の中でも、印象に残っている試合はない。過去のことを振り返ることはしない。初セーブは05年に大邱(テグ)球場で記録したけど、その時の試合もほとんど覚えていないんだよ」

 幾多の修羅場をくぐり抜けてきた右腕にとって数字よりも大事なものがある。蓄積疲労の影響でサムスン時代の10年に右肘にメスを入れ、夏場の大事な時期にチームを離脱。毎日、球場の前を通り過ぎ通ったリハビリ施設に3カ月間も“缶詰め状態”になった。苦悩の日々を右腕は、あえて日本語で表現し、感情を押し殺した。

 「マイニチ、メッチャ、ストレスダッタ」。リハビリを終え、自宅に帰っても、試合はほとんど見なかった。気持ちを紛らわすために、部屋には観葉植物を無数に置き、休日は美術館に出向くこともあった。「日本では植物は買っていない。そんな時間はないからね」。今、守護神としてマウンドに立てる喜びを身に染みて感じる。

 だからこそ、手術を受けて以来、古傷のケアには時間を割く。筋骨隆々の上半身を駆使して思い切り腕を振る「豪腕型」であるため、ウエートトレーニングでは右肘を支える上腕三頭筋を重点的に鍛えている。「痛くて投げられないあの時を思えば、どんな練習にも耐えられる」。「信念」は揺らぐことはない。

 「これからも多くのセーブを稼いでいくつもり。積み上げていく中での過程だと思う」。金字塔に目もくれない。背番号22に数字のゴールはない。

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2014年7月22日のニュース