前橋育英敗退…昨夏V腕光成、6回まで0封も7回まさかの6失点

[ 2014年7月21日 05:30 ]

<健大高崎・前橋育英>昨夏V腕短すぎる夏…。スコアボードを背に涙の高橋光(右から2人目)

群馬大会3回戦 前橋育英2-6高崎健康福祉大高崎

(7月20日 高崎城南)
 第96回全国高校野球選手権大会(8月9日から15日間、甲子園)の地方大会は20日、46大会で257試合が行われた。群馬大会では昨夏の甲子園の覇者で、高橋光成(こうな)投手(3年)を擁する前橋育英が3回戦で高崎健康福祉大高崎に逆転負けを喫し、姿を消した。
【7月20日の結果 組み合わせ】

 1メートル88、88キロの大柄な体が見る間に小さくなっていく。高橋光は仲間に肩をさすられ、うつむきながら整列に加わった。逆転負け。静かに涙し、声は今にも消え入りそうだった。

 「しっかり準備していたけど自分が打たれて負けた。チームを勝たせることができなくて、悔しい。力不足で申し訳ない」

 4000人の観衆が詰め掛けた大会屈指の好カード。終盤に落とし穴が待っていた。2点リードの7回。先頭を出した高橋光は次打者を遊ゴロの併殺に打ち取った。2死走者なし。窮地を脱して安心したのか、ここから四球をきっかけに崩れた。100球を超えて球威も落ち、多投していたフォークを見極められ、直球も浮いた。「あの回がなければ勝てた」。四球、連打、暴投と乱れて一挙に6失点。この日は得意だったけん制も研究され、4盗塁を許すなど、足でもかく乱された。

 この1年は苦しい道のりだった。一度は頂点を極めた男は「期待に応えなきゃいけないと、プレッシャーを感じて悩んだこともあった」と漏らした。1月下旬には右手親指付け根を骨折。練習試合でもほとんど完投がなく、投げ込み不足の不安とも戦った。重圧とスタミナ。その二つの課題を克服できず、最後の夏は終わった。

 敗れはしたが、視察した11球団35人のスカウトの評価は不変だ。自己最速にあと1キロと迫る147キロをマーク。巨人・原沢敦球団代表兼GMは「あの1イニングで評価が変わることはない。上位候補」と評した。

 進路を問われた高橋光は「上の世界でできると信じてトレーニングを続けたい」とプロ志望を明言。目指す投手像を問われると「どんな試合でも負けない投手に」と言い切った。プロ注目の右腕は涙を拭き、顔を上げて高校生活最後の夏に別れを告げた。

 ▼広島・高山健一スカウト ボール自体はシーズンで一番良かった。右打者の外角に決めた147キロは1軍クラス。

 ▼DeNA・吉田孝司スカウト部長 大きくなった体を使い切れていない印象だったが、直球は素晴らしい。上位で消えるでしょう。

 ▼中日・中田宗男スカウト部長 ケガで一番投げなきゃいけない時に投げられなかったのでは。でも春よりしっかり投げている印象。

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