マー君 8秒失点から単独トップ11勝 被弾もすぐ修正

[ 2014年6月19日 05:30 ]

<ヤンキース・ブルージェイズ>初回、カブレラのゴロにグラブをはじかれながらもアウトにする田中

ア・リーグ ヤンキース3―1ブルージェイズ

(6月17日 ニューヨーク)
 ヤンキースの田中将大投手(25)が17日(日本時間18日)、ブルージェイズ戦に先発。ア・リーグ東地区首位のチームを相手に10三振を奪い、6回を5安打1失点で両リーグ単独トップの11勝目を挙げた。初回、ホセ・レイエス内野手(31)にプロ入り初の初球先頭打者本塁打を浴びたが、以降は無失点に抑えた。リーグトップの防御率も1点台(1・99)に突入。ジョー・ジラルディ監督(49)にヤ軍での監督通算600勝をプレゼントした。

 試合開始からわずか8秒。田中は先頭レイエスへ投じた初球の外角ツーシームを右越えへ運ばれた。初球に先頭打者弾を浴びたのは日本時代も含め初めての屈辱だった。

 「いつもと同じリズムで投げるのは難しかった」。動揺する中、メジャー初登板で先頭打者弾を浴びたカブレラを迎え「思い出した」という。次の瞬間、強烈なライナーが襲う。グラブを吹っ飛ばされたが、後方に転がったボールを素早く処理。「投手も守備で自分を助けることはたくさんある」と一つアウトを取って気持ちを落ち着けた。

 リーグトップの93本塁打の強打を誇るブルージェイズの狙いもすぐに感じ取った。「真っすぐを狙っていたと思う」。変化球の割合を増やした。3回まで56%だった速球系の割合が4回以降は36%に減少。5回は全15球で速球系を1球も投げず、2番カブレラを宝刀スプリット、3番バティスタをスライダー、4番エンカーナシオンを再び宝刀で3者連続三振に斬った。10奪三振のうち、変化球で9三振を奪った。

 メジャー移籍後初の日本人対決も実現した。川崎だ。2回の初対戦。「行くぞ、マー君!」と言われ、「ヨッシャ!」と吠えた。気合満点。この日最速タイの94マイル(約151キロ)を外角低めに決め、見逃し三振を奪った。3打数無安打2三振に抑え「(他の打者よりも)より抑えてやろうと思いますよ」とニヤリだ。

 6回、104球を投げ、失点は先頭打者弾のみ。11勝目を挙げ、ついに両リーグ単独トップに立った。ブ軍ベンチで目を光らせていたのが、10勝で並んでいたバーリーだ。2度のノーヒットノーランを誇る35歳の技巧派左腕は「打者有利のカウントになっても厳しいところにボールを集めることができる」と分析。スプリットの精度の高さに驚き、ライバル視した。

 今季メジャーで唯一続けているクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)も14試合に伸ばした。抜群の安定感。田中は「(メジャーに)慣れてきて試合にスムーズに入っていけるのが一番じゃないですかね」と涼しい表情だった。

 ▼ジラルディ監督(田中にヤ軍監督通算600勝目をプレゼントされ)彼は接戦でも勝っている。うちの成功の理由の大部分は彼が占めている。

 ≪3度目≫田中が初回先頭打者本塁打を喫したのはプロ3度目。楽天時代は昨年5月22日巨人戦(Kスタ宮城)で長野、今年4月4日ブルージェイズ戦ではカブレラに被弾。過去2回は3球目で、初球を打たれたのは初めて。田中は今季、初回に4本塁打を浴びており、これはア・リーグ最多タイ。

 ≪一番乗り≫1900年以降の大リーグで新人による11勝一番乗りは、1911年のP・アレクサンダー(フィリーズ)、81年のF・バレンズエラ(ドジャース)に次ぐ3人目。

 ≪日本選手最速≫14試合での11勝到達は02年ドジャースの石井一久に並ぶ日本選手最速。石井は12勝目を挙げたのが18試合目で、ペース更新に期待がかかる。

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