巨人・渡辺会長 清武氏と法廷バトル!彼は「二重人格」

[ 2014年6月6日 05:30 ]

東京地裁に入る渡辺会長

 巨人の清武英利元球団代表(63)の解任をめぐる訴訟で5日、読売新聞グループ本社の渡辺恒雄会長(88)と桃井恒和球団社長(67)、清武氏が証人として東京地裁の法廷に立った。渡辺会長と清武氏が対面するのは11年11月9日以来、939日ぶり。コーチ人事権をめぐって激しい応酬が続き、渡辺会長は清武氏を「二重人格」と評せば、清武氏も人事権への不当介入と訴えた。次回の口頭弁論は9月に行われる。

 厳かな雰囲気の法廷に渡辺会長の言葉が響いた。11年11月11日、清武氏が独断で記者会見を開いたことに「電話で説得し、僕にねこなで声で“ありがとうございました。また電話差し上げます”って言っていた。やめてくれるのだと思っていた」と振り返った。ところが、会見は実行されて「二重人格な人物だと疑問を持つ!」と続けた。

 同年10月20日に渡辺会長と桃井社長、清武代表が面談。そこで翌12年のコーチ人事案の紙が提出された。渡辺会長の「そうか、分かった」との発言をめぐり、両者の主張は対立した。渡辺氏は「(コーチ人事細部の)説明は受けていない。18時を過ぎて別の会食の用事もある。早く帰ってもらいたい、簡単に言えば、早く俺の前から消えてくれということだ」とまくし立てた。これには清武氏も苦笑い。清武氏は人事案の了解を得られたとの認識を強調した。

 渡辺会長は10月31日にCSファーストステージ敗退による状況の変化、さらに11月4日に原監督から江川卓氏のコーチ招へい案の提案があったことで変更はあるとの見解を示した。コーチ人事権についても「僕の承認が必要」と主張。これに対し、清武氏は「人事権は私にある。巨人では一取締役にすぎない渡辺氏のアイデアで覆すのはあり得ない」と反論し、激しい応酬が続いた。

 2年半ぶりの対面。渡辺会長、桃井社長、清武氏が3人そろって宣誓書を読み上げ互いの席から5メートルの距離で向き合った。渡辺会長はつえを置いて証言台に向かった。たびたび感情も出た。清武氏側からの尋問で熱くなったり、身ぶり手ぶりを交えると、相手の弁護士から「指をさすな」との指摘。さらに裁判長から「冷静に!」と諭された。清武氏も巨人側から一部発言を取り上げられ、その有無を問われると「弁護士として正義に反する。このような(断片的な)陳述書を書かせるのはやめていただきたい」と語気を荒らげた。

 清武氏が会見を強行した動機を、渡辺氏は「GM職を外されるという自分の人事に対する憂さ晴らしだ」としたことにも、清武氏は「コーチを守りたい一心だった」と反論した。桃井社長の尋問も含め、3人で約6時間にも及ぶ舌戦だった。次回期日の9月18日に結審する予定。コーチ人事権が誰に、どこまであるのか、清武氏解任は妥当であるのか。年内にも判決が出る見通しだ。

 ◆渡辺 恒雄(わたなべ・つねお)1926年(大15)5月30日、東京都生まれの88歳。東大文学部哲学科卒業後、50年に読売新聞社入社。ワシントン支局長、政治部長などを経て、92年に社長に就任。グループ再編に伴い、02年から読売新聞グループ本社社長、05年から同会長・主筆。96年に巨人のオーナーに就任し、04年8月に明大・一場をめぐる裏金騒動により辞任。05年6月に会長として巨人に復帰し、今月10日付で最高顧問に就任する。また日本新聞協会会長、横綱審議委員会委員長を務めた。08年に旭日大綬章受章。

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