ダル 全快5勝!8回無失点でマー君と防御率ワンツー

[ 2014年6月3日 05:30 ]

<ナショナルズ・レンジャース>1死一、三塁のピンチをしのぎ、笑顔で捕手・クリス・ヒメネス(右)とタッチを交わすダルビッシュ

インターリーグ レンジャーズ2―0ナショナルズ

(6月1日 ワシントン)
 レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)は1日(日本時間2日)、ナショナルズ戦に先発し、8回無失点、今季自己最多タイの12奪三振で5勝目を挙げた。5月27日(同28日)のツインズ戦の登板を寝違えによる首の張りで緊急回避した影響を感じさせない快投で、防御率は2・08に。ヤンキース・田中将大投手(25)の2・06に次ぐア・リーグ2位となり、シーズン途中ながら大リーグ史上初めて日本人投手で1、2位を占めた。

 球場がどよめきに包まれた。4回だ。すっぽ抜けたかに見えたダルビッシュの球がゆっくり捕手のミットに収まった。59マイル(約95キロ)のカーブ。3球で見逃し三振に倒れた4番の左打者、ラローシュは「投げ損なってバックネットに当たるかと思ったら、球が落ちてきて…。手が出せなかった」とぼうぜん自失。直前の2球も、心憎いばかり。

 ダルビッシュ自身「真っすぐとツーシーム、カットボールもよかった」と話した通り、外角へ逃げるツーシームを投げ込み、同じコースから逆方向に曲げるカットボールで幻惑。この日の最速は96マイル(約154キロ)で、実に59キロ差の緩急だった。

 5日前に寝違えによる首の張りで登板回避。「きのうの夜、寝るのが怖くて、20回は起きましたね。“寝違えてないよね”みたいな感じで。全然寝られなかった」と苦笑したが、故障明けを感じさせない自在な投球でメジャー3年目で初対戦となったナショナルズ打線を圧倒した。

 今季初めて立った打席では3打数無安打ながら、「本業」は打者1巡目は直球でぐいぐいと押し、初回から3回にかけて5者連続三振を奪う。2巡目に入ると、スライダーの割合も増やしてさらに5三振を奪った。5回までに三振を10個積み上げ、8回を102球で12奪三振、無失点。防御率は2・08に上がり、ヤンキース・田中の2・06に肉薄した。マリナース・岩隈、ヤンキース・黒田らも含め日本の先発投手が高いレベルで競い合っている状況に、「みんながいい方が日本の評価が絶対に良くなる。そういう意味で頑張ってほしいなと思っている」と話した。

 12年1月、「日本の野球が下に見られるのが嫌。世界中の誰もに“No・1はダルビッシュ”と言ってもらえるようになりたい」と海を渡った右腕。日本人の筋力トレーニングに関する意識改革を訴えるなど、常に世界基準に照らし向上を目指してきた。弟分の田中からも「ああいう圧倒的な投球はできない」と尊敬のまなざしを注がれる背番号11が、小休止を経て再び力強く動きだした。

 ≪昨年は独占できず≫昨年は岩隈(マリナーズ)が防御率2・66でリーグ3位、ダルビッシュが同2・83の4位でシーズンを終えた。7月2日に岩隈がリーグトップに立ち、ダルビッシュが3位。5日後の7日には岩隈がトップで、3位に黒田(ヤンキース)がランクしていた。その後、黒田が8月6日にトップに立つも、同23日に陥落。終盤の9月2日時点でダルビッシュが2位、黒田が3位だったが、日本選手が1、2位を独占することはなかった。

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