大谷 自分に怒 監督「あんなに悔しそうなあいつは初めて」

[ 2014年5月21日 05:30 ]

<日・中>6回途中で降板する大谷は悔しげな表情を浮かべる

交流戦 日本ハム7―5中日

(5月20日 札幌D)
 日本ハム・大谷は、ムッとした表情でロッカールームから出てきた。追いかける報道陣を振り切り「(チームが)勝って良かったです。力不足でした」とだけ言葉を残し、足早にタクシーに乗り込んだ。

 栗山監督も「相当怒っている。あんなに悔しそうなあいつ(大谷)を見たのは初めて」と驚いた。それほど悔しい本拠地初の「リアル二刀流」デビューだった。

 「投手・大谷」は5回までは完璧だった。初回投じた10球の直球は全て150キロ台。4回1死ではルナへ2球連続でプロ入り自己最速タイの158キロをマークした。前回登板の13日西武戦(函館)でプロ初完投初完封。その試合で158キロを初めて計測したが、この日は4度も叩き出した。2回から4イニング連続で無安打。誰もが2試合連続の快投を予感していた。

 しかし、4―0の6回に突如崩れた。先頭の代打・岩崎に初めて四球を与え、続く大島に中前打、荒木には四球を与えて無死満塁。ここで森野に155キロ直球をはじき返され、左翼フェンス直撃の走者一掃の二塁打を浴びた。ルナにも右前打。あっという間に追いつかれ、交代を告げられた。6回1/3を投げれば初めて規定投球回数に到達したが、それも逃した。

 今年の交流戦は初の試みとして、セの主催試合のみDH制を採用するため、「7番・投手」で起用された。昨年6月18日の広島戦(マツダ)は5番。打順が下がったが、それは先発投手としての比重が高いことを意味していた。試合前のフリー打撃にも参加せず、あくまでも「投手」として調整した。自らの打席を終えた直後の6回に崩れたことに、捕手の大野は「ストライクを取りにいって腕が振れなくなった。(二刀流が)多少なりとも影響はあったと思う」とかばった。

 スタンドでレンジャーズのジョシュ・ボイド・プロスカウト部長が視察するなど、注目度も高かったが、打撃でも3打数無安打と結果を残せなかった。指揮官は「全然駄目だったけど、これをプラスにしてくれればいい」と言った。順調過ぎる2年目を送ってきた大谷にとっては不完全燃焼の一戦。これを糧とするしかない。

 ▼日本ハム・厚沢投手コーチ(6回に突如崩れた大谷について)先頭の岩崎君への四球で投球のメカニズムが崩れた。5回までは怪物かと思ったけど人間らしさを見たね。

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