エルド脅威の6ラン!広島 4年ぶり東京D3連戦に勝ち越し

[ 2014年5月19日 05:30 ]

<巨・広>6回1死、エルドレッドは左中間に満塁弾を放ちベンチでハイタッチ

セ・リーグ 広島10―3巨人

(5月18日 東京D)
 野村カープの勢いは本物だ。セ・リーグ首位の広島は18日、主砲のブラッド・エルドレッド外野手(33)が3回に14号2ラン、6回にも左中間に自身初の15号満塁アーチを放つなど4本塁打の猛攻で、10―3で巨人に大勝した。エルドレッドは自身最多の1試合6打点。チームも10年8月以来となる東京ドーム3連戦勝ち越しを決めた。2位・阪神には3差をつけ、20日からのセ・パ交流戦に臨む。

 完膚なきまでに叩きつぶした。6点リードの6回1死満塁。エルドレッドが笠原の初球、スライダーに反応した。次の瞬間、打球は軽々と左中間席に飛び込んだ。大リーグ時代を含めて初のグランドスラム。この日2発目、自己最多の6打点で巨人の息の根を止めた。

 「6打点はうれしいよ。最初は焦っていたけど、2打席目からタメをつくって打てたよ」

 特効薬が効いた。初回、セドンの外角チェンジアップを引っ掛けて三ゴロに倒れた。セドンには前回4月9日の対戦でチームは15三振を喫し、自身も3打数無安打2三振。2回の攻撃中だった。エルドレッドはベンチで野村監督から身ぶり手ぶりで助言を受けた。すると、どうだ。3回に左中間へ14号2ランを放ち、見事にリベンジした。

 打ち気にはやる助っ人に「自分から仕掛け過ぎていないか?」「相手は怖がっているぞ」――。そう声を掛けた指揮官は「彼は一生懸命過ぎるところがあるから。でも、ボクが言ったから打てるわけじゃない。打った選手が凄い」と称えた。主砲は野村監督の名前「謙二郎」から親しみを込めてケニーと呼ぶ。「ケニーが(通訳を介さず)直接コミュニケーションを取ってくれる。今年の春先からは助言をくれるようになった」。昨オフ、契約が切れたエルドレッドの残留をフロントに強く要望。その経緯を知っているからこそ、感謝の気持ちをバットで伝えている。独走する47打点に加え、15本塁打もリーグトップのヤクルト・バレンティンに並んだ。

 主砲だけではない。初回に菊池が先制6号2ラン。無死一塁での強攻策に「向こう(セドンは)バントだと思ったはず。真っすぐ1本に絞った」と初球の直球を左中間に叩き込んだ。今季は同学年の丸とともに急成長。昨季、球団初のCSに進出し、エルドレッドは「若い選手にとって、去年の経験がいい自信になっている」という。

 開幕前にこの快進撃を予想した者はいただろうか。リーグ優勝は91年を最後に実現せず、最近はBクラスの常連。しかし、ルーキーの大瀬良がエース前田健を上回る5勝を挙げるなど若手が台頭。社会現象になりつつあるカープ女子を中心にした大応援に支えられ、勢いがついた。

 4年ぶりに東京ドームでの巨人3連戦に勝ち越し、王者への劣等感も消えた。今季最多タイの貯金12で初めて首位で交流戦へ。「注目してもらえるのは選手のいいモチベーションになっている」と野村監督。23年ぶりの優勝へ、パ・リーグ相手にも赤ヘル旋風を起こす。

 ≪02年の西山以来≫エルドレッドが2本塁打を放ち、1日阪神戦の4打点を上回る自己最多の6打点。広島打者の対巨人戦ゲーム6打点以上は、02年8月4日に西山が6打点を挙げて以来12年ぶりだ。

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2014年5月19日のニュース