梵 引き分け寸前の12回サヨナラ弾!広島最多貯金12

[ 2014年5月14日 05:30 ]

<広・神>12回、梵(6)のサヨナラ弾に九里(右から5人目)ら広島ナインは大喜び

セ・リーグ 広島2―1阪神

(5月13日 米子)
 選手会長が一振りで4時間30分の激闘にケリをつけた。1―1の同点で迎えた延長12回無死、広島・梵英心内野手(33)が左翼席に3号サヨナラ弾。引き分け寸前のチームに貴重な白星をもたらした。投手陣も先発・九里亜蓮投手(22)をはじめ、登板した5投手が見事に仕事を果たした。まさにチーム一丸での勝利に、野村謙二郎監督(47)も選手を称えた。

 死闘を力ずくで終わらせる一発は頼れる選手会長から生まれた。

 「微妙だなと思っていましたけど、ベンチが盛り上がっていたので…。行ってくれと祈っていました」

 左翼席への着弾を見届けると、梵は高々と右拳を突き上げる。本塁で待ち受けるナインの歓喜の輪に、普段はクールな男が満面の笑みで飛び込んで行った。

 フィリップスが12回を抑え、負けがなくなった最後の攻撃。「塁に出よう。それを一番、思っていました」と、梵は冷静だった。先頭打者としてサヨナラ劇のきっかけを作ることだけを意識し、阪神6番手・二神のやや外寄りのボール強振した打球は、思いとは裏腹に、打った瞬間、それと分かる弾道で左翼席へ一直線に弾け飛んだ。

 勝負強さが違う。今季1号が4月4日DeNA戦(マツダ)でのサヨナラ本塁打。この日の一発で、今季放った3本塁打のうち2本がサヨナラ弾となった。

 144試合フル出場を目標に掲げて臨んだシーズンだったが、不振のためスタメン落ちも増え、この試合まで打率・215と調子は上がっていない。この日はナインより先に球場に到着し、早出特打を敢行。スタメン起用されたが、守り慣れた遊撃ではなく、プロ9年目で初の三塁でのスタメンだった。

 「与えられた場所で結果を残せるようにと思っている。結果が出ていないので、できることをしっかりやるしかない」

 打撃面は本調子ではない。それでも3四死球をもぎ取るなど、リードオフマンとしての仕事も果たした。

 野村監督もこん身の采配だった。「疲れるよね…」と苦笑いを見せ、就任5年目で初めてイスに座ったまま、試合後の会見を始めた。「一番調子を上げてほしい選手がいいところで決めてくれた」と梵の働きを称えたうえで、劇的弾まで粘り抜いた投手陣、全ナインの底力に最大限の賛辞を送った。

 「最後は打者が決めないと勝てないんだけど、今日は投手の勝利」

 今季最多タイの貯金12で2位・巨人とのゲーム差は3。赤ヘル軍団が首位に君臨する理由を存分に示した勝利だった。

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