京大初!プロ注目の田中 完封でリーグ戦全5大学から勝利

[ 2014年5月6日 05:30 ]

京大の田中

関西学生野球 京大3―0同志社大

(5月5日 甲子園)
 最速148キロを誇る超秀才右腕が、聖地で躍動した。阪神が今秋ドラフト候補にリストアップしている京大・田中英祐投手(22)が5日、甲子園球場で行われた関西学生野球リーグの同大1回戦に先発。5人態勢で見守った阪神編成陣の前で6安打6奪三振の力投を展開し、2012年春の関学大戦以来、自身2度目の完封勝利を挙げた。

 “虎の恋人”にとっては、激しい雨も、ぬかるむマウンドも関係ない。京大入学後、4度目の甲子園。田中は、無心で腕を振った。「カーブも有効に使えた」と振り返ったように、最速145キロをマークした直球にカーブ、カットボールなど多彩な変化球を効果的に織り交ぜた。緩急を自在に操り、同大打線に的を絞らせず。従来までの「力任せ」のイメージとは、ひと味違う投球で6、7回のピンチもしのぎ、待望の「聖地1勝」を2度目の完封で飾った。

 ネット裏には巨人、楽天、オリックスなど6球団18人のスカウトが集結した。早くから右腕を今秋ドラフト候補としてリストアップしている阪神は、スカウト部門トップの佐野仙好アマ統括スカウトを始め、最多5人の編成陣を送り込む熱の入れようだった。

 1年時から「面白い」と注目していた担当の池之上格スカウト課長の言葉も、熱を帯びる。「技術、素材はプロのレベルにあると思っています。きょうは力任せではなくて、しっかりとコントロールしながら、考えながら投げられていた。結果を出し続けるのは素晴らしいこと。投手の務めはゼロに抑えることですから」。将来、“本拠地”になる可能性のあるマウンドで見せた快投に、賛辞を惜しまなかった。

 これまでに、あまたのプロ選手を輩出している関西の最高峰リーグにあって、目下1、2を争う実力の持ち主だ。この日の相手・同大打線には、先発メンバーに甲子園経験者4人が並んでいた。だが、打てない…。甲子園組の一員である1番の篠川は「直球と思って打った球は、すべてカットボール。芯を外された」と脱帽。京大の寶(たから)馨監督は「甲子園ボーイのいない京大が、甲子園ボーイがたくさんいる同大に勝った。結構なことです」と笑った。

 田中はこの日の勝利で82年の新リーグ発足後、京大の投手では史上初となる全5大学からの勝利を記録した。加えてシーズン3勝も自身初。それでも満足はできない。「まだ何も(自分自身を)評価できる段階ではない。明日(の2回戦)も勝って目標だった勝ち点を取るまでは、評価にはならないと思っています」。

 目指すは02年秋以来23季ぶりの勝ち点獲得。「僕は(2回戦も)行くつもりです」。148キロ右腕は、フル回転で部史を塗り替える決意を示した。

 ≪田中 英祐(たなか・えいすけ)≫

 ★生まれ 1992年(平4)4月2日、兵庫県高砂市出身。

 ★サイズ 1メートル80、75キロ。右投げ右打ち。

 ★球歴 小4から野球を始める。白陵中から投手に転向し白陵高では1年秋からエース。2年夏の兵庫大会3回戦進出が最高成績。

 ★文武両道 京大には現役合格。工学部工業化学科に在籍し、主に「有機化学」について学ぶ。3年時は週に3度の実験をこなす。語学はスペイン語専攻。

 ★趣味 読書。野球の本や小説、自己啓発本など。カラオケはEXILE、Mr.Childrenなどが持ち歌。

 ★お手本はマエケン  フォームで参考にしているのが「広島の前田健太投手。下半身の使い方が参考になる」。

 ★座右の銘 信じた道、自分で歩いてまた道となる。

 ★家族構成 両親に弟、妹。「両親は阪神ファンみたいです」。

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