由伸 代打V打 かつての主軸「これが今の仕事」

[ 2014年5月2日 05:30 ]

<巨・ヤ>試合後、女性ファンに手を振るヒーローの高橋由

セ・リーグ 巨人4―2ヤクルト

(5月1日 東京D)
 不振のベテランが一振りで決めた。巨人は1日のヤクルト戦で、高橋由伸外野手(39)が同点の6回に代打で決勝の2点適時打を放ち、5月を白星で発進した。今季はここまで先発出場はわずか1試合。新たな働き場の「代打」でも結果が出ていなかったが、面目躍如の一打となった。チームは貯金を再び6とし、2位・阪神とのゲーム差を1に縮めた。

 うっ憤を吐き出した。一塁ベースを回った高橋由は、ベンチに向かってガッツポーズ。一塁コーチャーの大西外野守備走塁コーチとは激しいハイタッチを交わした。

 「これが僕に与えられた仕事。何とか果たしたいと思っていた。やっと(シーズンの)スタートが切れたという感じ」

 代打の出番は同点の6回1死二、三塁だった。マウンドには前日も対戦したカーペンター。「イメージはあった」と、バットを指1本分短く握った。フルカウントから内角152キロの直球を、しぶとく左前に落とし、2者を迎え入れた。

 開幕戦からベンチを温める日々。不慣れな途中出場、1打席勝負が求められた。前日までの代打成績は12打数1安打、打率・083だった。立場は理解しているが「初めて。なかなか難しいね。グラウンドとベンチで同じ試合の空気に入るのは難しい」と本音も漏らす。東京ドームでの試合後、勝利に沸くベンチ裏のブルペンにこもってティー打撃を行う日もあった。

 この日は球団創設80周年記念の一環で行われている「ジャイアンツ・レジェンズ・デー」の「松井秀喜デー」だった。4月初め。高橋由は開幕戦イベントで日本に滞在していた松井氏と都内で会食した。「たわいもない話ばかりだよ」。2月の宮崎キャンプで打撃投手を務めてもらった時の思い出話も出た。声を出して何度も笑った。くすぶる毎日を過ごす中、かつてクリーンアップを組んだ同氏との時間は、最高の気分転換となった。

 試合前のビジョンには松井氏のインタビューが流れ、高橋由もベンチから見つめた。「そういう日に打ててうれしい」。昨年5月5日の国民栄誉賞授与式の際には「一年でも長く(現役を)やれ」と声をかけられ、その言葉を胸に39歳になった今も野球に精進する。

 外野手では若手の橋本が急成長し、左翼の定位置を争うアンダーソンは4番を務める。2カードぶりに勝ち越した原監督は「これをきっかけに、ここ一番の時に(高橋)由伸あり、となってくれれば」と期待した。「今はこれが仕事」と高橋由。百戦錬磨のベテランがベンチにいるのは心強い。

 ≪今季初のV打≫高橋由(巨)が6回に代打で決勝の2点適時打。代打による勝利打点は、11年10月12日の阪神戦、昨年8月1日のヤクルト戦(いずれも代打サヨナラ打)に次ぎ自身3度目だ。また、前日までの代打安打はわずか1本で、代打打率は・083。4月26日広島戦以来2本目の代打安打が今季初のV打になった。なお、代打での合計6打点は、野本(中)に並ぶ両リーグ最多タイと勝負強さは健在だ。

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