広島 貯金10一番乗り ドラ3田中冷や汗プロ1号 ビデオ判定2分待った

[ 2014年4月25日 05:30 ]

<ヤ・広>ヤクルトに勝利し、笑顔を見せる田中(右)と大瀬良

セ・リーグ 広島9-2ヤクルト

(4月24日 神宮)
 待たされた分だけ喜びは大きかった。0―1の2回1死一、二塁、広島のドラフト3位・田中の打球は右翼ポール際に飛び込んだ。プロ初アーチが逆転3ラン。「うまく腕を畳んで打てた。感触も良かったし完璧」。気持ち良さそうにダイヤモンドを1周したが、ヤクルト側のアピールでビデオ判定に持ち込まれた。

 「頼むからホームランになってくれと祈っていた。そうじゃないと自分は終わってしまうので」

 大げさではない。その打席に入った時点での打率は・167。1軍生き残りが懸かるルーキーに与えられた7試合ぶりのスタメンだった。2分後、本塁打が確定。プロ30打席目で飛び出した初アーチで今季初の同一カード3連勝を呼び込んだ。

 1メートル71、81キロと体は大きくないがパンチ力には定評がある。東海大相模、東海大では巨人・菅野と同期。JR東日本で腕を磨き、プロ入りは菅野より1年遅れとなったが「あっちは実績を残した。でも、負けるつもりはない」と力強く言い切る。売りは二塁、三塁、遊撃の3つのポジションで見せる高い守備力。安定しているから起用は増える。オープン戦でも打率・333と結果を残した。開幕直後は本来の打撃ができなかったが、本職の遊撃では初めてとなる先発起用に応えた。

 新人ではドラフト1位・大瀬良、同2位・九里の投手2人に注目が集まっているが、この日はその大瀬良を援護した田中も大きな期待を背負う。背番号63は、今季から9を背負う丸から受け継いだ出世番号である。野村監督は「大きい。失投を逃さず、最高の結果を出してくれた」と称えた。

 チームの貯金は98年以来16年ぶりとなる10に到達。当時、小学生だった田中は「僕は初めてのことなので、それがどこまで凄いことなのか分からないけど、勝って良かった」と初々しい。25日から直接対決を迎える2位・巨人に2ゲーム差をつけて首位を快走。若い力がチームを加速させる。

 ◆田中 広輔(たなか・こうすけ)1989年(平元)7月3日、千葉県生まれの24歳。東海大相模では1年秋からベンチ入りし、2年春に甲子園出場。東海大では4年秋に首位打者。卒業後はJR東日本に進み12年の都市対抗で若獅子賞に輝いた。13年ドラフト3位で広島入団。巨人・菅野とは高校、大学の同期。1メートル71、81キロ。右投げ左打ち。

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