マー君 無傷3勝目 敵地ボストンも「本物」と認める大きな拍手

[ 2014年4月24日 05:30 ]

<レッドソックス・ヤンキース>3回1死一塁、サイズモアを二ゴロ併殺に仕留めガッツポーズの田中

ア・リーグ ヤンキース9―3レッドソックス

(4月22日 ボストン)
 ボストンも「本物」と認めた。ヤンキースの田中将大投手(25)が22日(日本時間23日)、レッドソックスとの「伝統の一戦」に初登板。デービッド・オルティス内野手(38)の特大弾を含む2者連続本塁打を浴びたものの、7回1/3を7安打2失点、7奪三振で無傷の3勝目を挙げた。一昨年から続くレギュラーシーズンの連勝記録を31に伸ばすとともに、宿命のライバルに強烈な印象を植え付けた。

 8回1死。マウンドを降りる田中を待っていたのは、ブーイングではなく、大きな拍手だった。試合後「皆さん(報道陣)からブーイングが凄いんじゃないかとビビらされていたので、ちょっと謝っていただきたいです」と笑った。メジャーで最も熱狂的なことで知られるフェンウェイ・パークのレ軍ファンも脱帽するしかない快投だった。

 今季初めてのボストンでの「伝統の一戦」は、異様な雰囲気で幕開けした。オフにヤ軍へ移籍したエルズベリーを標的に開始直後からブーイング。それでも田中は「特別そういう雰囲気は感じなかった」と全く意に介さなかった。だが、試合を通して平常心だったわけではない。4―0の4回には洗礼を浴びた。

 通算435本塁打の3番オルティスに、やや甘めに入ったツーシームを右中間席に運ばれた。飛距離は482フィート(約146・9メートル)。米スポーツ専門局ESPNによると、同局が計測を始めた06年以降では、オルティスが放った最長不倒弾という。続く4番ナポリには高さ11・3メートルの「グリーンモンスター」を越える一発を浴びた。プロ入り2度目の2者連続被弾。この回、マウンドを降りる際にはふがいなさからか、大声を上げた。

 だが、ここで崩れないのが田中だ。「雰囲気を引きずって打たれたわけではない。失投です」と冷静に分析し「ここからまた切り替えて頑張ろう」と気持ちをリセット。最速96マイル(約154キロ)をマークした直球を軸に凡打を重ねると、フェンウェイ・パークは次第に静まり返っていった。

 06年夏の甲子園で早実・斎藤(日本ハム)と壮絶な投げ合いを演じた駒大苫小牧時代には「僕は悪役みたいな感じ」とヒールを自認した田中。完全アウェーの環境でも力を発揮できるのが、最大の武器でもある。その背中を頼もしげに見守ったのが今季限りで引退するジーターだ。レ軍を倒す重要性を最も知る男は「日本でも大きな注目の中で投げてきたのだから、このような状況でも普通に力を発揮できるのだろう。彼が投げている姿を後ろから見るのは楽しいね」と賛辞を贈った。

 ダルビッシュら多くの日本人投手が初登板で打ち込まれてきた鬼門の地を乗り越えた田中。開幕4試合で35三振を奪い、四球は2つしか与えていない。制球力と三振奪取力を兼ね備える指標「K/BB(奪三振÷与四球)」はア・リーグ断トツの17・50だ。揺るぎない安定感を見せ続ける右腕は「対戦できたことが収穫。次に当たった時はまた相手も違う」と、なお気持ちを引き締めていた。

 ▼ヤ軍、ジョー・ジラルディ監督 2者連続本塁打を打たれた後もすぐに修正した。アウトの取り方を分かっている。25歳という若さを忘れさせてくれる。

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