イチロー 衝撃キャッチ 捕られたオルティスも拍手「あれはニンジャだ」

[ 2014年4月15日 05:30 ]

<ヤンキース・レッドソックス>8回1死、オルティスの打球を好捕するイチロー

ア・リーグ ヤンキース3―2レッドソックス

(4月13日 ニューヨーク)
 ヤンキースのイチロー外野手(40)が13日(日本時間14日)、レッドソックス戦でスーパープレーを演じた。1点リードの8回にデービッド・オルティス内野手(38)が放った右中間への大飛球をフェンスに激突しながら好捕。宿敵相手の勝利に貢献しチームは首位タイに浮上した。一塁で先発出場したフランシスコ・セルベリ捕手(27)が負傷し、4回から代走で途中出場。一塁手として出場する可能性もあった中で右翼手として存在感を見せた。

 イチローは感傷的になっていた。スーパープレーに、ヤンキースタジアムを埋めた4万6081人の大観衆から送られた「イチローコール」。試合後も耳に残っていた。

 「ちょっと、ジーンとね。僕の気持ちもさすがに動くというか、そういう気持ちになりました」

 1点リードの8回1死無走者。レッドソックスの主砲オルティスの放った強烈なライナーが右中間に飛んだ。全速力で背走したイチローはジャンプし、フェンスに激突しながらキャッチした。反応の速さ、無駄のないコース取り、球際での集中力。オルティスは悔しがるどころか、拍手で称え「あれはニンジャだ」とうなった。ただ、イチローにとっては計算され尽くしたプレーだった。

 「どっちみち捕れなくてもダブル(二塁打)なので、行きやすい場面ではあった。(ケガのリスクは)僕にはそんなんないからね」。激しい衝突を避けるためジャンプと同時に右足と右手を伸ばしてフェンスとの距離を確認。ヤンキースタジアムの右中間は膨らみがないこともあり、たとえ捕れなくても三塁打にはならないと判断した。

 2試合連続でスタメン落ち。外野の控えという立場で「よほどのことがない限り、出ないと思っていた」と振り返り、こう続けた。「何かのアクシデントが、まあ、そのアクシデントがあったわけですが」。内野の故障者が続出する中で、捕手のセルベリが一塁で先発出場。だが、4回1死一、三塁から三ゴロで走った際、右太腿裏を痛めてベンチに下がり、イチローは代走で起用された。

 その頃、ベンチでは一塁探しが始まった。ベンチ入りしたジーターは右ふくらはぎ痛、ロバーツは腰痛。控えの内野手がおらず、ジョー・ジラルディ監督は「誰に聞いてもできないというし、最後はイチローかベルトランのどちらかだった」と内情を明かした。最終的に指名されたベルトランが右翼からメジャー初の一塁守備に就き、イチローが右翼を守った。

 回避した40歳のベテランは「もう、ファーストをやれと言われたら、僕も足が痛いと言おうと思っていた」とジョーク交じりで言った。最後はイチローの好守で宿敵相手に2連勝。指揮官は「彼が守っていたからこそ生まれたプレー。あのプレーがなければ同点もあり得た」と感謝した。

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