エースとは「勝てる投手」岸 有言実行の完投勝利

[ 2014年4月12日 05:30 ]

<日・西>試合後、伊原監督(左)とハイタッチする岸

パ・リーグ 西武5-2日本ハム

(4月11日 札幌D)
 縦のカーブを最大の武器とする西武・岸だが、立ち上がりは少なかった。しかし、3回1死、西川に対し、カウント2ボールから2球続けて見逃しのストライク。ブレーキの利いた軌道に、カーブの感覚をつかんだ。捕手の炭谷も悟った。「西川に2球投げたところからカーブが良くなった」。146キロの直球で中飛に打ち取ると、ここから一気に波に乗った。

 7回まで5イニング連続の3者凡退で1安打投球。岸は「腕を振ることだけを考えた」と振り返ったように、直球と同じ腕の振りから落差のあるカーブが面白いように決まる。7回に打ち取った球は全てカーブ。3回の西川を迎えるまで41球中、わずか4球だった決め球は、最終的には26球まで増えた。8回に陽岱鋼に2ランを浴びて完封こそ逃したが、131球の3安打2失点で今季初勝利を完投で飾った。

 札幌ドームとの相性も抜群だ。昨季は3試合に登板して2勝0敗で、通算でも5勝5敗ながら防御率は2・32。「マウンドも高いので投げやすい」。高低と緩急を巧みに使う岸には、適した球場ともいえる。

 涌井がロッテにFA移籍し、今季は「エース」と呼ばれるようになった。しかし、その重圧から今年1月には「エースと呼ばないでほしい」と漏らしたこともある。開幕投手を務めながら、打線の援護に恵まれず2連敗していたが、この日は志願し、今季チーム初の完投勝利を挙げた。「(エースとは)勝てる投手」と岸。その顔は自覚に満ちあふれていた。

 ▼西武伊原監督 きょうの岸はチェンジアップを少なくして、カーブを増やしていた。緩急差が相当ついていた。

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2014年4月12日のニュース