ユーキリス 来日1号 OP戦不調もプライド捨て若手に交じり修正

[ 2014年3月30日 07:59 ]

<西・楽>6回無死、左越えにソロ本塁打を放ち、松井稼(左)とタッチを交わすユーキリス

パ・リーグ 楽天5-2西武

(3月29日 西武D)
 貴重な「来日1号」だった。先頭打者で迎えた3―2の6回。楽天・ユーキリスは西武・菊池が投じた142キロの高めの直球を左翼席に運んだ。

 「(開幕)2試合目で本塁打を打てたけど、長いシーズンのどこかで打てること。それよりチームが勝つことが大切だ」

 メジャーで通算150本塁打を放った男はそう振り返った。

 オープン戦では15試合に出場し、打率・158、0本塁打。「オープン戦で3冠王、本塁打王をとってもシーズンで活躍できるとは限らない」と結果は気にしていなかったが、調子を上げるために元大リーガーのプライドは捨てた。21日の中日とのオープン戦(ナゴヤドーム)の試合前、自ら首脳陣に申し出た。「若手が打っているスポンジの球を自分にも打たせてほしい」。しっかりとボールの下を叩いてバックスピンをかけないと前方に飛ばないスポンジ製の黄色い球。若手と同じようにティー打撃の形で打つことでミートポイントやスイング軌道を修正しようと試みた。

 異国の地で戦う決意をいっそう強めた出来事もあった。前日。開幕戦に向けて都内の宿舎を出発する前、大広間で行われた全体ミーティングの最後に大型スクリーンで11年の星野監督就任から昨季の優勝までの記録映像が流された。11年3月に発生した東日本大震災、そして日本一の瞬間に被災地のファンが喜ぶ姿が映し出されるなどストーリー性の高い約15分間の映像。ユーキリスも目頭を熱くした。

 リーグ連覇に向けて、チームは3年ぶりの開幕連勝発進。前日のミーティング中に「(今年も)みんなで最後に俺を胴上げしてくれ!」とナインに熱い言葉を投げかけた星野監督は、「まだ始まったばかり。あした(3戦目)を勝って、きのうときょうの勝ちが意味あるものになる」と表情を緩めることはなかった。

 その思いは主砲も同じ。「日に日に上達できればという意識を1年間続けて、結果につながればいい」。連覇の使者として海を渡ってやってきた男の本領発揮はこれからだ。

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2014年3月30日のニュース