西浦 史上初の新人開幕戦初球弾!相手は「打つなよ」LINEきた法大先輩

[ 2014年3月29日 07:17 ]

<ヤ・D>初回1死一、三塁、プロ初打席で3ランを放ったヤクルト・西浦はベースを回りながら小さくガッツポーズ

セ・リーグ ヤクルト9-1DeNA

(3月28日 神宮)
 ベンチが、スタンドがどよめいた。そして打った本人が一番驚いていた。初回、4点を奪い、なお1死一、三塁で8番に起用されたヤクルトの新人・西浦にプロ初打席が回ってきた。初球。三嶋のカットボールを叩くと、打球は左中間席に飛び込んだ。

 「自信はなかったけど、打ってやるという気持ちでした。夢のよう。本当に自分がやったんだと、うれしいです」。

 大学時代から慣れ親しんだ神宮のダイヤモンドを気持ち良さそうに一周した。ルーキーの開幕戦初打席初本塁打は、1950年の毎日(現ロッテ)・戸倉以来、64年ぶり。だが、初球となると史上初の快挙だ。

 ドラフト2位で法大から入団。打った相手はよく知る顔だった。大学の1学年上・三嶋。「あまり先輩という感じがしなかったんです。ため口で話していたくらいで」と話すほどプライベートでも親交が深く、前夜、無料通信アプリ「LINE」で「あしたお願いします」と送ると「打つなよ」と返信が来た。「三嶋さんから打つのは10年早いですよ」と返したが、プロ初打席で歴史に名を残す一発を刻んだ。これには小川監督も「本当にビックリ」と手放しで喜んだ。

 チームの新人野手では4年ぶりの開幕スタメンをつかんだが、守備を評価されての起用だった。昨季、遊撃手を固定できなかった事情から小川監督は「チームの今後を考えると、西浦というレギュラーが必要」と期待し、2月の春季キャンプでは昨季限りで引退した宮本慎也氏からも直接指導も受けた。口癖のように言い続けたのは「まずは守備」という言葉。しかし、天理3年夏の奈良大会では新記録の17安打を放ち、打率・810をマークした「8割男」としても注目されていた。

 昨季、チームは最下位に沈み、今季もオープン戦はわずか1勝(11敗1分け)。開幕前の前評判は低かった。そんな中で飛び出したルーキーの一発。背番号3が十分すぎるほどのインパクトを残した。

 ◆西浦直亨(にしうら なおみち)1991年(平3)4月11日、奈良県生まれの22歳。天理では1年秋からベンチ入りし、2年春、3年春夏の3度甲子園に出場。法大では4年時の春季リーグで本塁打、打点の2冠を獲得。日米大学野球代表に選出された。13年ドラフト2位でヤクルト入団。1メートル78、75キロ。右投げ右打ち。

 ≪新人の開幕戦本塁打は13人目≫新人の西浦(ヤ)が1回のプロ初打席で初球本塁打。新人の開幕戦本塁打は97年清水(ロ)以来13人目、ヤクルトでは初めてになる。うち初打席で打ったのは50年戸倉(毎日)以来64年ぶり2人目だが、戸倉はカウント1―1から。初打席初球弾は西浦が史上初の快挙だ。なお、プロ初打席本塁打は昨年5月12日楽天戦の加藤(ロ)以来55人目、セ28人目。初打席初球本塁打は加藤以来8人目で、新人では50年塩瀬(東急)を含め3人目。塩瀬がチーム32試合目、加藤が36試合目で達成した記録を、西浦は開幕戦でやってのけた。

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