松井裕あるぞ開幕投手 星野監督「冗談ではなくなってくる」

[ 2014年3月14日 05:30 ]

<オ・楽>3回2死ヘルマンから三振を奪い絶叫する松井裕

オープン戦 楽天3―0オリックス

(3月13日 京セラD)
 楽天のドラフト1位・松井裕樹投手(18)が13日、オリックス戦に先発し、5回2安打無失点、4奪三振でオープン戦2勝目を挙げた。計3試合12イニング連続で無失点。高卒新人ながら、エース格の則本昂大投手(23)を脅かす快投を続ける18歳左腕を、星野仙一監督(67)は開幕投手候補に挙げた。

 5回2死。あと一人のところで、松井裕は四死球と安打を許した。オープン戦初めての満塁のピンチ。崩れない。18歳左腕は142キロ直球を外角低めに制球し、ヘルマンを二ゴロに仕留めた。

 「アピールするためにゼロを意識した。マウンドで気持ちがバタバタすることはなかった」。初回、ヘルマンにいきなり左中間二塁打を浴びたが、後続を断った。負けず嫌いの血が騒ぐ。3回にヘルマンからチェンジアップで空振り三振を奪うと「ヨッシャ!」と吠えた。最後もヘルマンに2本目を許さなかった。

 この日の4度を含め、得点圏ではオープン戦3試合で7打数無安打。ピンチでギアを上げるのは、昨季24勝無敗だった田中(現ヤンキース)をほうふつさせる。元エースは昨季得点圏被打率・160で、満塁機では同・067だった。田中に憧れる松井裕は「常に全力で投げているけど、やっぱり(得点圏では)失点したくないという気持ちが入る」と振り返った。

 4三振を奪い、オリックス・西と並ぶオープン戦トップの12奪三振。この日最速の145キロ直球や鋭く縦に落ちるスライダーの威力を証言したのは、投げ合ったパを代表するエース金子だった。右腕の金子はプレート板の一塁側を踏んで投げるため、踏み出した左足の跡が、左投手の右足と重なることが多く、この日は松井裕と同じだった。

 「マウンド上が結構荒れていたのでまだバラツキがあるけど、深く掘れていたので力強さを感じた」と金子。昨季、200奪三振でタイトルを獲得し、田中にタイトルを独占させなかった男は脅威に感じたことだろう。一昨年夏の甲子園で22奪三振の大会記録を樹立した怪物左腕に対してだ。

 星野監督は「入ってくるわな。それも上の方で」と開幕ローテーション入りを明言。さらに、開幕投手の座にも「あの投球なら(文句の)言いようもない。冗談ではなくなってくる」と言った。

 4月1日の本拠地開幕に備えさせつつ、開幕投手本命の則本が今後調子を落とせば、大役を任す可能性も出てきた。高卒新人が開幕投手を務めれば、1956年の牧野伸(東映)以来58年ぶり史上4人目で、ドラフト制以降では初めてとなる。

 「一日一日が必死なので、しっかりやっていきたい」。控えめな松井裕だが、冗談でも夢物語でもない。それだけの投球を18歳は見せている。

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2014年3月14日のニュース