大瀬良直球でねじ伏せた「打てるなら打ってみろ」

[ 2014年3月13日 05:30 ]

<神・広>4回1死二、三塁、藤井に左前適時打を打たれ跳びあがって悔しがる大瀬良

オープン戦 広島6―4阪神

(3月12日 甲子園)
 広島ドラフト1位、大瀬良大地投手(22)が開幕ローテーション入りを決定的にした。今春3度目の実戦登板だった12日の阪神戦(甲子園)では最長5回を7安打されて3失点ながら、最速147キロの直球は阪神打線を押し込んだ。高校3年夏以来の甲子園球場のマウンドに成長の跡を刻み、勝利投手にもなった。

 大瀬良はサインに首を振った。フルカウントから自ら選んだ1球は直球。内角低めに決めて西岡のバットを押し込んだ。初回の無死一、三塁は味方拙守の二塁打にけん制悪送球と死球も重なった窮地。三塁走者を本塁へ還しても力で一ゴロに抑えた。次のマートンも外角直球で見逃し三振させ、小さく拳を握った。

 「直球で押せるところは押したかった。“打てるなら打ってみろ”というくらいの気持ちでいった。ある程度コントロールできれば、通用する部分は感じた。もっと直球でもよかった。自分らしさを前面に出したい」

 3度目の実戦。前回までの反省を修正につなげた。左足をゆっくり上げて「投げ急がず右足に体重が乗るようにした」。始動時に投球板に添えていた右足を半分ほど板に乗せ、反動も有効に使った。「しっかりと指にかかった球が多かった。真っすぐで詰まらせたり、差し込んだファウルを取れた」。直球をとらえられたのは4回の福留の右越え二塁打だけ。総じて阪神打線を押し込んだ。

 痛打されたのはカットボール。「大学の時は空振りやゴロを取れた。そこは、いままでとは違った。使い方を考えたい。打たれたけど、収穫はあった」。肌で感じた打者の反応は生きた教材だ。

 野村監督は「一番の武器は直球。球速以上に打者へ入っている感じ。順調」とうなずく。2回→3回→5回とイニングも伸び、開幕から先発を任せられる算段は立った。既に2位の九里も確定済みで、新人2人が開幕先発枠に名前を連ねるのはドラフト制以後では球団初。躍進の期待感を誘う布陣が誕生する。

 甲子園球場のマウンドに立つのは長崎日大3年時、09年夏以来だった。「プロとして帰ってきて新鮮な気持ち。周りを見る余裕もあって楽しく投げられた」。敵地球場の登板は初めてで、準備運動後に外野で集合する投手ミーティングを知らず「ベンチ裏でご飯を食べてしまっていた…」と初々しいひと幕もあった。

 「全体的にもう少し精度を上げていきたい」。スタートラインまで2週間強。全開発進を誓った。

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2014年3月13日のニュース