呉昇桓 聖地0封デビュー 気合の疾走、リリーフカー乗車“拒否”

[ 2014年3月9日 05:30 ]

<神・日>9回、呉昇桓はリリーフカーを使わずに走ってマウンドに向かう

オープン戦 阪神5―6日本ハム

(3月8日 甲子園)
 寒風吹きつける聖地を「石仏」が疾走した。9回、甲子園初登板となった阪神・呉昇桓(オ・スンファン)が、登場から注目を集めた。通常ならリリーフカーに乗って向かうところを、走ってマウンドへやってきた。

 「今まで一度も乗ったことがないからね」

 キャンプ中に行われた2月21日の紅白戦では、登板の準備をする練習前に腕立て伏せをする独自の調整法を披露。この日も韓国時代と変わらぬ試合への入り方で準備を整えた。

 セーフティーバントを狙った先頭の中島卓は、自慢の石直球で押して捕ゴロ。陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)に四球、杉谷には中前打と盗塁を許して1死二、三塁とピンチを背負ったものの、西川を内角高めの直球で空振り三振に仕留めると、最後は前の打席で本塁打を放っている北を中飛に打ち取り無失点で締めた。

 「甲子園で初めて投げたけど、今は徐々に上げていく段階で内容としては良かったと思う」

 オープン戦初登板となった5日のソフトバンク戦で長打を浴びて失点した際に「これからは、なるべくヒットを打たれず、失点しないようにしたい」と話していた通り、スコアボードに、きっちりと「0」を刻んだ。

 韓国通算277セーブを誇る豪腕は、ここまでの実戦4試合で、ほとんど捕手のサインに首を振っていない。

 「今はキャッチャーのサイン通りに投げるのが一番。サインについていって、投げながら勉強したい。ゲームが終わっても、藤井さんがいろいろ話をしてくれるし、勉強している途中」

 この日も、登板後に中西投手コーチ、藤井に直球の高低について指摘を受け、新たな「教材」を得た。謙虚さと勉強熱心な姿勢で日本でもさらなる進化を遂げようとしている。

 開幕へ向けて状態が上がってきていることは間違いない背番号22は言葉もさえ渡る。今後も走ってマウンドに向かうのか?という問いには「自分は走って、彼(横にいた江口通訳)が車に乗っていきますよ」と報道陣の爆笑を誘った。余裕たっぷりの聖地デビューとなった。

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