「補欠」からの大逆襲!新井、開幕4番浮上 和田監督“前言撤回”で

[ 2014年3月4日 05:46 ]

ティー打撃の合間に笑顔を見せる新井

 阪神の新井貴浩内野手(37)が3日、甲子園での全体練習後に約1時間の居残り特打を行い、開幕戦での4番出場へ執念を見せた。和田豊監督(51)は当初、右膝裏痛を抱えてリハビリ中のマウロ・ゴメス内野手(29=ナショナルズ)をぶっつけ本番でも先発起用する意向だったが、この日一転、方針転換。15日のDeNA戦までに実戦復帰しなければ白紙に戻すとしたため、打撃好調の新井の可能性ががぜん、現実味を帯びてきた。

 全体練習が終わった直後だった。バットを握り締めた新井が直行したのは、選手ロッカーではく、室内練習場。多田打撃投手とともに姿を消してから約1時間後に、大粒の汗を流しながら出てきた。

 「(最初から打ち込む)予定だった。状態は悪くない。感覚も良い。(良い)打ち込みができたと思う。これからも(好調を)続けていかないといけない立場だしね」

 危機感があふれていた。今成や伊藤隼ら若手に交じって、ベテランでは唯一の参加。決意の表れだろう。それは決して珍しい光景ではなく、前日も2日前も、そして3日前も続けていた無心の打ち込みだった。

 「(僕は)補欠なんでね。いつでも(試合に)行ける準備をしておかないといけない」

 入団16年目の今季は厳しい立場に立たされていた。ゴメスが新加入して、4番の筆頭候補に挙げられている。ふつうに開幕を迎えれば、新助っ人が先発出場するのが濃厚だ。しかし右膝裏痛でいまだ実戦出場がゼロで、明らかに調整が遅れている。この日も一人別メニューで調整中。「(ゴメスの状態は)関係ない」と言うものの、ライバルのあまりの体たらくに新井のモチベーションが上がらないわけがない。

 今春は過去最高と言ってもいいぐらいの存在感を発揮している。紅白戦を含む実戦4試合で11打数9安打で打率は驚異の・818をマーク。「充実感を見せてくれた」。なんと和田監督から春季キャンプのMVPに指名されるほどの充実ぶり。オープン戦出場も今か今かと待ち遠しい状態だ。

 「(試合への出場は)僕が決めることじゃない。ただ、どんどん打席に立ちたいと思っている」

 4日からはソフトバンク2連戦などオープン戦も本格化する。「4番・一塁」と攻守でポジションがダブるゴメスを結果を出すことで一気に抜き去りたい。「シーズンは結果だけでいいけど(オープン戦では)内容、結果を求めてやりたい。準備はできている」。補欠からの逆襲を宣言した。開幕4番を狙う和製大砲はライバル相手にファイティングポーズを取り続け、KO寸前まで追い込んでいる。

 ≪新井逆襲メモ≫

 05年(広島) 開幕戦はベンチスタートだったが、負傷のラロッカに代わって3戦目から三塁で先発出場すると、6月に球団タイ記録の6試合連続本塁打を放つなど、シーズン43本塁打でタイトルを獲得した。

 11年 プロ野球選手会会長を務めており、3月に発生した東日本大震災による開幕延期を巡って奔走。12球団の意見を集約し、文科省にも足を運んだ。オープン戦では満足な調整ができなかったが、シーズン93打点で打点王に。

 13年 前年の右肩痛の影響もあり、阪神で初めて開幕スタメン落ちを喫した。しかし4月の新井良故障離脱を機に一塁で出場。5月に月間6本塁打の打率・373と調子を上げ、シーズン終了まで一塁を定位置とした。

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2014年3月4日のニュース