松井氏指導は具体的でシンプル 1、2軍でアプローチ使い分け

[ 2014年2月14日 09:05 ]

2軍選手たちと記念撮影する(前列左から3人目から)松井臨時コーチ、長嶋茂雄終身名誉監督、岡崎2軍監督ら

 巨人は13日、宮崎での春季キャンプを打ち上げ、臨時コーチを務めたOBの松井秀喜氏(39)も指導最終日を迎えた。打撃指導に加え、打撃投手やフリー打撃実演など、打って、投げて、松井イズムを注入した約2週間。最後に後輩に向け、グラウンド内外で巨人の選手としての振る舞いを求めた。松井氏は近日中に渡米し、今度はヤンキースの臨時コーチを務める。

 2週間、寝食を共にしてきた仲間と別れの時が来た。指導最終日はあいにくの雨。朝一番で長嶋終身名誉監督、2軍選手と記念撮影。1軍は軽めのメニューで午後早くに宿舎に引き揚げたが、松井コーチはその後も、木の花ドームで2軍の打撃練習を最後まで見守った。岡崎2軍監督に「では先輩、失礼いたします」。最後まで松井秀喜を貫き、魂の言葉を残した。

 「早かった、あっという間です。新しい、僕にとっての勉強の場でしたし、非常に有意義な時間だった。ジャイアンツの選手らしく、球場でも球場外でも振る舞っていく選手になってくれればと思う」

 巨人で培い、ヤンキースで磨いた人間力を言葉ではなく、自然な立ち居振る舞いで伝えた。打撃投手では計1023球を投じ、9日にはフリー打撃を実演して22スイング。人生初ノック、フリー打撃など合わせると530スイングした。精力的に動き回る一方で、選手への声掛けは静かで、具体的でシンプルだった。

 「少しでも選手がヒントを得たり、成長のきっかけをつかんでくれることが大事だと思っていたんで、そこだけは神経を使った」。技術が確立している1軍選手へのアドバイスには、自らの経験を基に話した。逆に2軍選手には、対話から始めた。「イメージが合わないと、ただ言っても実にはならない」。時にはヤンキースの選手の映像を見て、特徴を共有することも行ったという。

 村田選手会長は「シーズン中も見てアドバイスをいただければ参考になる。今回のような機会があればいい」と熱望。原監督も「芽が出て、花が咲き、という状況に必ずなると思う。監督として大変感謝している」と話した。現場の意向を受け、今後は球団内でも受け入れ態勢を話し合う。「総合アドバイザー」などの肩書で、シーズン中も松井氏に指導を求める可能性もある。松井コーチは「今回は(将来へのステップということは)一切考えなかった。フラットな気持ちだった」と話すが、巨人次期監督への第一歩となったことは間違いない。

 松井氏は今後、米フロリダ州タンパでヤンキースの野手がキャンプインする20日(日本時間21日)に合わせて渡米し、古巣のヤ軍でも臨時コーチを務める。「ファンの皆さんへの顔見せと練習のお手伝い。打撃投手は、要請されれば投げる」と意欲的で、投手・松井VS打者・イチローの実現も待たれる。

 「今まではチームメートだった選手中心で見ていたが、これからは全選手見るのが楽しみだし、2軍の結果を見るのも楽しみ」

 松井と共有した日々を結果として示すのはナイン。球団創設80周年での日本一こそ、松井氏への恩返しになる。

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