石井一久氏 楽天・松井裕と共感 打たせて取るより三振の方が簡単

[ 2014年2月11日 08:30 ]

お互いの得意球、スライダーの握りを披露する楽天の松井裕(右)とスポニチ本紙評論家の石井氏

 今年からスポニチ本紙評論家に就任した前西武の石井一久氏(40)の直撃インタビュー第2弾は、楽天の黄金ルーキー・松井裕樹投手(18=桐光学園)です。ともに高卒ドラフト1位の左腕としてプロの世界に入り、スライダーを武器に三振を奪うという投球スタイルも共通している。憧れの左腕を前に、松井裕から質問する場面もあった。

 石井 テレビで見ていたプロ野球選手と、中に入って見るプロ野球選手は違うでしょ?

 松井裕 そうですね。テレビでは簡単に見える部分もあったけど、実際は違った。筋トレ一つとってもいろいろ考えてやっているし、サインプレーとかも細かいですね。

 石井 ほかに大変だと思うことは?

 松井裕 新人で1軍にいるのは1人だけなので、気疲れするところもあります。

 石井 僕も高卒でプロに入って、すぐに1軍キャンプに連れていってもらったけど、やっぱり気を使うよね。そういうことでリズムが狂ったりする。そんな中でホテルの部屋に戻って、自分のリラックス方法はある?

 松井裕 音楽が好きなので。あとはテレビを見たり。

 石井 実際にプロに入って、やれる自信は?

 松井裕 まだ、あまりないです。

 石井 でも松井君のブルペンを実際に見て、完成度は高いなと思った。自分の持ち球を自信のある順番に並べてみて。

 松井裕 スライダー、真っすぐ、カーブ、チェンジアップです。

 石井 僕と一緒。カーブもいいよね。

 松井裕 カーブは回転を多くすることを意識しています。

 石井 松井君と言えば、奪三振のイメージが強いけど、自分の中で三振を取る方法はある?

 松井裕 基本は真っすぐとスライダーのコンビネーション。高校生相手の時は、真っすぐを植え付けて、次は同じ軌道からスライダーを曲げる。いいバッターの時は、まずはスライダーを投げて、その反応を見てから次の球種を決めます。

 石井 三振に対するこだわりはある?

 松井裕 こだわりというか、自分の中では打たせて取るという方法が分からないので、三振を狙ってしまうんです。

 石井 その考え方はよく分かる。僕も三振の方が簡単だったと思う。

 松井裕 石井さんはどういう考え方からそう思うのですか?

 石井 三振は前に飛ばさなければいいだけ。でも併殺を取る時は、この辺りにボールを落とすとか、いろいろ考えないといけない。だったら、直球でも変化球でも絶対にバットに当たらない切れを身につければいいと思う。松井君は、併殺を取りたい時に必要な球種をこれから見つけていこうとか考えている?

 松井裕 まだ真っすぐ、スライダー、カーブの自分の持っているボールが、それをできるかどうかも分からない。それを見極めてからです。

 石井 でも、お世辞抜きに松井君のスライダーはプロの中でも上の方のレベルだと思う。スライダーを投げる時はキャッチャーのどの辺りを狙って投げている?

 松井裕 右肩くらいを狙って、最後にもうちょっと力を入れる感じです。自分はクロスの直球(クロスファイア)が得意で、右打者にもスライダーを内角に投げるんですけど、外(のボールゾーン)から入れるスライダーは有効ですか?

 石井 1ストライクという状況をつくるには有効。でも、僕の経験で言えば、パ・リーグで成功している左投手はみんな内角で勝負してくる。もちろん、アウトローは投球の基本だけど、僕はパ・リーグに来てからはカウントを取るのも空振りを取るのも、ほぼ内角。中途半端に外角で勝負する方が打たれる可能性が高い。インコースに投げていくと、気持ちが入るので、集中力も高まる。

 松井裕 自分もそうです。

 石井 インコースは技術だけでなく、試合の中で気持ちを乗せていくためにも大事だと思うよ。

 松井裕 自分は勝てる投手になりたいんですけど、調子が悪い時はイライラしてしまう。そういう時はどうやって修正していますか?

 石井 調子が悪い時でも何か一つはいいものはある。例えば、外の真っすぐとか、カウントを取るスライダーがいいとか、カウントは取れなくても曲がりがいいから、低めに落とせば空振りを取れるとか。それを試合の中で早く見つけること。あと、僕の場合は左打者で感覚をつかむ。左打者は投げる時にターゲット(目標)になるので、右肩の壁をつくりやすい。でも僕は参考にならないかな。ムラがあるピッチャーだったから(笑い)。今、フォームで気をつけていることはある?

 松井裕 足を上げる時に背筋が反ってしまうので、真っすぐ立つことを意識しています。

 石井 松井君は注目度が高いので、僕も含めて評論家からもいろいろアドバイスされたり、こうしたらいいとか書かれると思うけど、そういう声は気にしちゃう方?

 松井裕 そんなには。高校の時から、一つの意見として聞いて、自分に合うと思ったら取り入れてきました。

 石井 まだ18歳。焦らずにやっていく考え方もあるけど、やっぱり開幕は1軍にいたい?

 松井裕 はい。

 石井 松井君は僕と共通する部分も多いので、これからも注目していきます。

 松井裕 きょうはありがとうございました。

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