名手・藤田の捕らないキャッチボール“当ててつかむ”

[ 2014年2月3日 06:15 ]

キャッチボールで返球をグラブで止める練習を繰り返す藤田

 名手はボールを捕らない。一体、どういうことか?楽天内野陣で芸術的な守備を見せる楽天の二塁手・藤田。その独特なキャッチボールに職人技の一端がのぞく。

 「ボールを(グラブで)つかんだらその分だけ遅れる。グラブのどこに当てたら、どう弾むかを確かめているんです」

 藤田はキャッチボールのとき、相手の返球をポンッとグラブに当て、はじいたボールを右手で握って投げ返す。約10分間で一度もグラブに収めることはなかった。普通「捕って投げる」のがキャッチボール。だが、この名手に限って「捕る」動作はない。グラブの中に収めてしまうと、握って取り出してからでないと投げられないからだ。「捕る」動作を省けば、それだけ早く投げられる。だから、グラブのどの位置に当てれば素早く握れるかを常に確認する。

 この職人技が最も生きるのが併殺。送球を捕らずに当てて、握って、投げる。0コンマ何秒の時間短縮が、際どい併殺を何度も完成させた。

 小、中学校時代に肩が強くないことを自覚していたという。「どうやって早く送球するか」。そして身につけた究極の送球方法。しかし、藤田はあえて言う。「小、中学生には教えられません」。胸の前で両手で捕ってから投げる。それがキャッチボールの基本だからだ。

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2014年2月3日のニュース