松井氏12年ぶり宮崎に帰ってくる お客さんもほれた大浴場での出来事

[ 2014年1月31日 07:47 ]

93年、初めての宮崎キャンプで大勢のファンに囲まれる松井

 ゴジラが帰ってくる!巨人の宮崎キャンプ(2月1~13日)で臨時コーチを務める松井秀喜氏(39)が31日に宮崎入りする。プロ1年目の93年から巨人在籍最終年の02年まで汗を流した思い出の地。12年ぶりの「凱旋」にゴジラフィーバーの再来を期待する声は大きい。松井氏と関わりのあった人物の証言とともに当時を振り返る。

 目の前に美しい青島ビーチが広がる青島グランドホテルは、V9最後の年、73年から巨人がチーム宿舎(09年からは2軍宿舎)としている。冨森信作社長(55)は21年前の記憶をたどると、表情が穏やかになっていった。甲子園を沸かせた松井氏がプロ1年目をスタートさせた93年2月1日。「最初はスーパースターということで、変な物差しで見てしまっていた」というが、すぐにその人柄にほれた。

 「全てにスマートだった。偉い、さすが、立派なのが松井さん。そこに、凄いも加わる」

 冨森社長は「1年目だったか、2年目か…、これは大女将が実際にお客さんから聞いた話なんですが」と切り出し、大浴場でのエピソードを披露した。現在はホテル全体を貸し切っているが、当時は一般客も宿泊可能で大浴場で選手と一緒になることもあった。

 一般のお客さんとともに湯船に漬かっていた松井氏は上がる際、自分が使用したおけや椅子などを整頓すると、他の席も同じようにきれいに並べた。そして、お客さんに向かい「お先に失礼します」と頭を下げた。「松井のファンになったよ!」。居合わせた男性客は、興奮気味に大女将に明かしたという。

 「これにはビックリでした。なかなかできることではない」と冨森社長。その姿勢は何年たっても変わらない。宿泊中、松井氏がホテル側にあれこれ注文することなど全くなかった。「こちらが“本当に大丈夫なのかな?”と心配するくらい何もなかった。そういう人柄に接するうち、社員が次々とファンになっちゃうんです」。もちろん、社長自身もその一人だ。

 12年ぶりの「凱旋」。当時のフィーバーがよみがえる。93年、巨人を率いていたのは長嶋監督だった。ホテル前は前年までの倍近い200人のファンであふれた。「ポールとかコーンとか、規制用の備品をそろえたのは松井さんの時が初めて」。2年目には自社の社員を警備員代わりに配置した。1階ギャラリーから寄せ書きの色紙が紛失したこともあった。

 松井氏がメジャーへ移籍し、背番号55が不在となった03年2月1日。巨人の球団関係者を通じて、色紙が届いた。「青島グランドホテル様」と書かれ、英語で「Yankees H・Matsui」のサイン。感謝のしるしだった。臨時コーチとして宮崎に帰ってくる松井氏との再会を心待ちにする冨森社長は「とても楽しみです」と言った。最初に見せたその笑みは、最後まで絶えることがなかった。

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