秋山氏の原点は父が削った薪バット「思いもよらんかった」

[ 2014年1月18日 05:46 ]

秋山監督の父・辰芳さんは、熊本県氷川町の自宅で野球人・秋山幸二の原点となったバットを手に思い出を語る

野球殿堂プレーヤー表彰

 ソフトバンク・秋山監督の父・辰芳さん(85)は、熊本県氷川町の自宅で殿堂入りの報を聞くと、戸棚から古びた木製の小さなバットを大事そうに取り出した。

 「おめでとう。あとは言うこつはなかです。これを削った時は(殿堂入りは)思いもよらんかったですね」

 3歳の時だった。幸二少年は近所の友達と野球のまねごとをしていた。竹のバットとテニスボール。楽しそうな姿に辰芳さんは風呂を沸かすための薪(まき)を削り、長さ50センチのバットを与えた。「毎日、うれしそうに持って出かけよった…」。まぶたの裏には息子の笑顔が浮かんだ。

 きっかけを与えたのは父だが、熱中させたのは母・ミスエさんだった。小学校3年生の夏、地元に野球少年団ができた。入団は4年生からだが「球拾いでもよかです」とねじ込んだ。息子の指揮官としての初の日本一を見届けることなく、11年8月10日に他界。棺には、翌11日のロッテ戦(ヤフードーム)のウイニングボールが納められている。口数が多いとは言えない息子からの感謝の印だった。

 「(ミスエさんが)生きとるならば、また、喜んどったでしょう。どこまでも付いていきよったし、天国からも見とると思いますよ」。辰芳さんは隣でほほ笑む遺影にそう、語りかけた。

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2014年1月18日のニュース