和田監督、神戸Vパレード誓う 2年目の藤浪に期待

[ 2014年1月18日 05:30 ]

神戸市長田区の震災復興イベントに参加し、区民代表の渋谷萌さん(中央右)やKOBerrieS♪とフォトセッションを行う和田監督(中央)

 阪神大震災から19年がたった17日、神戸市長田区の西神戸センター街で開かれた「第10回神戸震災復興フリーライブ―ONE HEART―」に参加した阪神・和田豊監督(51)は、藤浪晋太郎投手(19)に“2年目のジンクス”は当てはまらないことを強調。その上で最多勝争いへの参戦を指令した。被災地で約束した優勝パレードの実現へ向けて2年目右腕の飛躍に大きな期待を寄せた。

 阪神大震災で被害が激しかった場所のひとつ、神戸市長田区。商店街の特設ステージで必勝を誓った和田監督は来場者から藤浪の今季の浮沈を問われて言い切った。「彼に2年目のジンクスは当てはまらない」。根拠は故障防止を最優先の起用でありながら10勝を挙げた昨季の勇姿だ。「去年は10勝したけど、球数がイニング数に制限をかけていた。だから、まだ本来の力は出し切っていない」。確かに完投0、規定投球回未満の137回2/3で堂々の成績を残した。“鎖を外す”今季はどこまで伸びるのか…。

 「去年は先発の5、6番目の位置づけだったけど、今年は3本柱の一人として考えている。相手のいい投手と当たることも多くなると思う。たとえ同じ10勝でも意味や価値は違ってくる。もちろん、できれば最多勝争いに加わってほしい。そうなれば優勝が近づく」

 壇上では午後の“5時46分”に合わせて黙とうを捧げた。まだ現役選手だった19年前。自主トレで滋賀へ赴いた翌朝に震災に見舞われた。大阪まで電車を乗り継ぎ、大阪からは西宮市内の自宅まで「家族の顔を見たい」一心で歩いた。家族と再会できたのは日付が変わった午前2時ごろだったという。

 家族とともに自主トレ先の滋賀へ一時避難。電池や食料などを買い込んで避難所を巡ったこともあった。「あの年にオリックスは“がんばろう。神戸”で優勝したけど、我々は最下位。悔しさと申し訳なさでいっぱいだった」。忘れ得ぬ記憶だった。

 「忘れてしまいたいこと、絶対に忘れてはいけないこと、いろいろな思いが皆さんにある。この歴史や事実は絶対に風化させてはいけない。建物など外見で元に戻ったように見えても本当の復興は心の中にある。我々タイガースが勇気を与えられるのは野球しかない。元気、勇気、感動、そして、少しでも笑顔を届けたい。秋には神戸で優勝パレードをお見せできるようにしたい」

 決意を新たにする1・17。「皆さんが少しでも元気になってくれれば、という気持ちでこういう場に来るけど、いつもこちらが元気をもらって帰るんだよね…」。兵庫県に本拠地を置く唯一のプロ野球チームを率いる者として使命感を心に固く刻んだ。

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