大瀬良 早くも一日7時間トレ 恩師は飛ばし過ぎ危惧

[ 2014年1月6日 05:30 ]

キャッチボールをする大瀬良

 広島にドラフト1位で入団した大瀬良大地投手(22=九州共立大)が5日、北九州市にある同大学で自主トレーニングを公開した。新人を対象とする9日の入寮、10日からの合同自主トレに備え、調整遅れを取り戻すべく連日ハードワークに汗を流す右腕。同大学の仲里清監督(58)は将来的な160キロ投球の可能性に言及し、即戦力と評される努力家の伸びしろに太鼓判を押した。

 流す汗が心地よさそうだった。軽めのランニングに始まり、約30メートルの距離で50球のキャッチボール。野球部後援会出席のため、この日のみ早めに切り上げた右腕は「まずは開幕1軍に残り、新人王が獲れるように頑張りたい」と話し、1年目への決意を新たにした。

 取材攻勢や教育実習に追われ、年末まで「想像をはるかに超える」多忙な毎日を過ごしてきた。始動は元旦。それでも調整は遅れ気味で、4日の予定を前倒し、2日夕には大学へ戻ったという。3日からはボールを握りつつ、一日7時間のハードトレを課してきた。

 「仕上がりは7割ぐらい。8日までは大学で練習を続け、入寮には不安なく臨めると思います」

 自他ともに認める努力家。右腕の心技体を知る仲里監督も「放っておいてもよく練習する子。ボクは抑えるだけだった」と証言する。だからこそ危惧するのが飛ばし過ぎによる故障だ。指揮官には苦い過去があった。

 00年ドラフトでダイエー(現ソフトバンク)を逆指名し、1位入団した山村路直氏。今の大瀬良と同じように剛腕と騒がれたが「キャンプ初日に150キロを出し、肘を痛めたことが影響した」ためプロ1勝に終わった。いきおい、大瀬良には「ゆっくりやれ」と命じる。

 何しろ、最速153キロを誇る黄金新人。即戦力の誉れ高いが、仲里監督はまだ伸びしろがあると断言し、衝撃的な数字まで挙げる。「体格(1メートル87、91キロ)はいいが、体力的には子ども。だから160キロを投げるかもしれない」。故障さえなければ、10年のヤクルト・由規の161キロ以来となる、日本人投手2人目の大台到達も可能とした。

 「監督だけでなく、トレーナーや病院の医師からも“筋力はまだ強くなる”と言われた。球速がすべてじゃないので、160キロへの気持ちは特にないけど、自然に体が大きくなる中でスピードアップする分はいい」

 現時点でも新人王の呼び声高い。そんな右腕が160キロを投げ始めるとすれば、セ界の勢力地図と投手情勢は一体、どうなるのか。恩師の言葉に夢が大きく膨らむ。

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