“石仏”の異名そのままに…呉昇桓 ブレない来日 報道陣圧倒

[ 2013年12月11日 05:30 ]

鋭い視線で報道陣の質問に答える呉昇桓

 阪神が獲得した呉昇桓投手(31=サムスン)が10日、入団会見や球団の施設見学を行うため、関西国際空港着の航空機で来日した。新守護神として期待される右腕は、迷彩柄のグレーのジャケットに身を包むなど「スナイパー」を思わせるファッションで登場。他を寄せ付けない圧倒的なオーラと殺気を放ちながら、虎入りへの意気込みを語った。

 表情を変えず、到着口に姿を現した。テレビカメラ8台、報道陣約70人が集結して騒然とする中、呉昇桓は来日する外国人選手にありがちな笑顔も見せず、会見場所へ歩みを進めた。言葉に表すなら「殺気全開」-。

 迷彩柄のグレーのジャケットに、インナー、パンツ、スニーカーはともに黒。隆起する厚い胸板だけが目立つ。「派手さ」の対極をいくファッションは、狙った獲物を確実に仕留める狙撃手を連想させた。人気劇画「ゴルゴ13」の主人公・デューク東郷に雰囲気が似ているといわれる中、いきなりキャラ全開だ。

 「日本に着いて、今のところ楽しみでドキドキしている。日本に入った実感もある」

 胸躍らせているように感じる言葉とは裏腹に、その顔には怖いぐらいに変化はない。ピンチでも全く動じないことから韓国球界で「石仏」と称されている男は“新天地”に降り立っても、ブレることはなかった。

 投げかけられる質問に淡々と答える中、確固たる決意もうかがえた。4日にソウルで行われた契約調印式で正式に託された背番号「22」。阪神の絶対的守護神として、日本通算220セーブをマークした藤川(現カブス)のつけていた番号であり来季以降、比較されることは避けて通れない。

 「22番は日本で抑えの番号として最高の番号だと思う。22番は阪神の中では藤川選手のほうがファンの立場として慣れていると思うが、これから結果的にだんだん(自分の日本での成績が)良くなっていけば、22番に対して新しいイメージが出てくるのではないか」

 “宿命”を背負う形となっても、何らプレーに影響することはない。日本のマウンドで自身が最高のパフォーマンスを発揮することさえできれば“歴史”は塗り替えられる。22番を呉昇桓の代名詞とするための戦いが始まろうとしている。

 今後は本拠地・甲子園球場、クラブハウスなどの施設見学、新居選びなどのスケジュールが控えており、帰国前には入団会見も予定されている。

 「チームの助けになりたいし、来年の目標は優勝なので、優勝できるように少しでもチームを助けて頑張りたい」。殺気、オーラ、緊迫感…。呉昇桓を包み込むすべての要素が、バッターを震え上がらせるに違いない。

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