掛布コーディネーターが初指導 良太を“後継者”に指名

[ 2013年11月3日 06:00 ]

掛布打撃コーディネーターは森田のティー打撃を見守る

 阪神の掛布雅之ゼネラルマネジャー(GM)付育成&打撃コーディネーター(58)が、安芸秋季キャンプ2日目となった2日、初指導にあたった。練習前には円陣の中でナインらに訓示を述べた。1988年の引退後初めて現場に戻った「ミスタータイガース」は、午前10時から約7時間の熱血指導。現役時代に守っていた三塁のポジションについて「日本人に守ってほしい」と話したうえで、新井良太内野手(30)を“後継者”として指名した。

 知らず知らずのうちに、体はホットコーナーへと引き寄せられていた。現役時代に慣れ親しんだ三塁ベース付近にいると、高揚した気持ちを抑えられなくなった。シートノックを打っていた高代内野守備走塁コーチには「ノックが下手くそ!」とやじを浴びせるなど、選手以上に大声を張り上げ練習を盛り上げた。 

 「(三塁に行ったのは)ちょっかいを出しにいっただけですよ。新井良太や今成にね。日本人に守ってもらいたいポジションですよね。彼らがホットコーナーを守って、阪神というチームを引っ張っていくような選手になってほしいという気持ちは非常に強い。どうしても気になりますよね」

 期待の表れは、その密着ぶりからうかがえた。GM付育成&打撃コーディネーターとしての“初指導”は新井良だった。シートノックに入る直前、身ぶり手ぶりを交えながらゴロ捕球の動作を繰り返すと、その後はスイングの動作を繰り返した。その中身は守備のリズムを打撃につなげる、というものだった。

 「右足でボールをつかんで左足でステップを踏むということです。野球は軸足が大切で、守備もバッティングに通じるものがある。キャッチボールも右足が大事で、すべてが共通するんです」

 フリー打撃でも、ケージ裏から背番号32に熱視線を送り続けた。93スイングで8本の柵越え。テークバックを小さくしたことによりフォームが安定し、柔軟性も加わった。この激変ぶりに目を丸くしながら、大きな期待を寄せた。

 「一番ビックリしました。かなり形が変わっていましたから。左足の使い方がうまくなった。(打った後の)伊勢エビの踊りみたいなのがなくなった。(今の)下半身の使い方をすると、(伊勢エビには)ならない。バットをフィニッシュまで両手で持っているから。前の足が突っ張るから外が弱点になる。柔軟な膝を持つと変化球、内角にも対応できる。本人も、今年の新井良太は捨てました、と言ってました」

 今季は開幕4番を任せられながら状態を維持し続けることができなかった。それでも「ミスタータイガース」はその未完の大器に、まだまだ伸びしろがあることを確信した。1988年の引退後初めて戻った現場で、良太を自身の後継者として育て上げる。

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2013年11月3日のニュース