上原爆笑MVP 投球とトークでハートわしづかみ

[ 2013年10月21日 06:00 ]

タイガースを破りリーグ優勝を決め、跳び上がって捕手と抱き合うレッドソックス・上原

ア・リーグ優勝決定シリーズ第6戦 レッドソックス5―2タイガース

(10月19日 ボストン)
 レッドソックスの上原浩治投手(38)が19日(日本時間20日)、ア・リーグ優勝決定シリーズ第6戦に5―2の9回から登板。1回1安打無失点で3セーブ目を挙げ、チームを07年以来6年ぶりのリーグ優勝に導いた。上原は5試合に登板し1勝3セーブ、防御率0・00で、同シリーズMVPを受賞。日本人によるポストシーズンでのMVPは、09年ワールドシリーズの松井秀喜以来2人目となった。

 思いの丈を吐き出すと、3万8000人が噴き出した。お立ち台。MVPの上原が重圧について問われたときだった。「正直、吐きそうでした(I almost threw up)」。はにかみながら発した守護神のコメントが、意外にも地元ファンの爆笑を誘った。上原は7歳の長男・一真(かずま)くんを壇上に上げると、何度も頭をさすって喜びを分かち合った。祝勝ムードに沸くフェンウェイ・パークが上原劇場となった。

 MVPらしく、この日も主役の座を譲らなかった。出番は3点差で迎えた9回。先頭アビラを3球三振に取ると、場内の大合唱は「コージ」から「MVP!」に変わった。2死から遊撃内野安打を許したものの、最後はイグレシアスを空振り三振で仕留める。11球全てストライク。右人さし指で天を指し駆け寄ってきた捕手に体を預けた。

 「今の気持ちは最高としか言いようがない。(MVPコールは)凄くうれしい」

 自らを形容する言葉「雑草魂」にふさわしい1年だった。1年425万ドル(約4億1700万円)で契約し開幕は7、8回を担当。だが、6月21日に抑えに指名されると、以降は49試合登板で防御率は0・51と大活躍。日本投手最長の27試合連続無失点、メジャー記録に迫る37打者連続アウトもマークするなどチームに不可欠な存在になった。

 短期決戦のプレーオフでは回またぎでの起用も命じられる。今ポストシーズンでも3度経験。登板は8試合に及んだ。疲労は限界に達しているが、フアン・ニエベス投手コーチは「試合前は行けると言っていたが、つらそうだった。気力の投球だった」と精神力を称えた。上原は体のケアに人一倍時間を費やすが、登板後はすぐさまTシャツ、短パン姿になりウエートトレーニングなどを欠かさない。翌日に疲れを残さないための調整法で、時には全員が球場を離れても黙々と続けることがある。ジョン・ファレル監督も「試合後の調整はすさまじい。だからこそ長丁場で活躍できる」と評価した。

 ワールドシリーズはレンジャーズ時代の11年に、不振で出場登録を外された苦い思い出がある。相手はその時と同じカージナルス。「アクセル踏みっぱなしでやる」。トロフィーを掲げた表情に迷いはなかった。

 ≪救援MVPは3人目≫80年に制定されたア・リーグ優勝決定シリーズで救援投手がMVPを獲得するのは史上3人目。88年アスレチックスのデニス・エカーズリーはレッドソックス相手に4連投で4セーブ。03年ヤンキースのリベラはレッドソックス相手に4試合を投げ1勝2セーブを挙げた。

 ≪リーグ優勝決定戦日本人MVPは初≫日本選手によるポストシーズンのMVPは、09年ヤンキースの松井秀喜がフィリーズとのワールドシリーズで獲得して以来。リーグ優勝決定シリーズでは上原が初めての受賞となった。

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2013年10月21日のニュース