杉内 CS史上初3球チェンジ「僕自身なかなかない」

[ 2013年10月19日 06:00 ]

<巨・広>7回1失点の快投を見せた杉内

セ・リーグCSファイナルステージ第3戦 巨人3―1広島

(10月18日 東京D)
 巨人・杉内の目は、心なしか赤く染まっているように映った。試合後のインタビューで原監督の口から「今年一年間、トータルで戦おうと約束した。最高にいい投球をしてくれましたね」と最上級の褒め言葉が出たためだ。

 「うれしかった。監督も(約束を)覚えていてくれたんだな、と思った。去年の分もという思いで気合も入っていた」

 移籍1年目で日本一に輝いた昨年。12勝でリーグ優勝に貢献したが、9月に左肩違和感を発症した。CS、日本シリーズともに登板機会なし。球場のロッカーで毎日テレビ観戦した。「情けなかったし、悔しかった」。今季開幕前。東京ドームのベンチ裏通路で指揮官と向き合い、一年間のフル稼働を約束した。

 圧巻は6回。打者3人を3球で片付けた。丸と菊池には直球で押し込み、梵はスライダーだった。CS史上初で「僕自身、なかなかないことだよね」と技巧派左腕は苦笑いしたが、広島の早打ちを逆手に取った。それも直球の球威があってこそ。シーズン中は130キロ台前半しか出なかったこともあった直球の最速は140キロ。この日78球中、半分を超える46球を投じた。7回2安打1失点。2年ぶりのCSマウンドで勝利投手になった。

 今季は11勝を挙げたが、昨年の左肩違和感の影響もあって納得のいかない投球も続いた。苦しいシーズンで支えになったのは背中で輝く栄光の背番号18。「これを見ると下を向いていられないと思う」。移籍組の自分に託してくれた球団の覚悟も感じた。いつしかユニホームを着る直前、背番号に左手を当て、瞑想(めいそう)するのがルーティンになった。この日もそうだった。「不思議と気持ちが落ち着いてくる」と力をもらった。

 「監督の期待に応えたい一心でやってきた。日本シリーズも勝って監督を胴上げしたい」。その言葉には熱がこもっていた。

 ▼巨人・川口投手総合コーチ 今年の杉内は力が入らないところがあった。きょうは力めるくらいにパワーがあったし、良かった。

 ≪PO&CS初 6回3球チェンジ≫杉内(巨)がソフトバンク時代の07年第1S(2)戦以来6年ぶりのCS勝利。CSで両リーグ白星は豊田(西、巨)、ホールトン(ソ、巨)に次いで3人目になる。6回は先頭の丸から菊池、梵といずれも初球を打たせ3球でチェンジ。ポストシーズンの3球チェンジは日本シリーズで
50年(4)6回大島(松竹)
51年(2)1回別所(巨人)
55年(3)7回中尾(巨人)
71年(3)4回山田(阪急)
 と4人いたがプレーオフ、CSでは杉内が初めてだ。

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2013年10月19日のニュース