エルドレッド 人柄が生んだ背走キャッチ 2軍落ちも腐らず練習

[ 2013年10月14日 06:00 ]

<神・広>2回1死一塁、藤井彰の打球をエルドレッドがスーパーキャッチ

セ・リーグCSファーストステージ第2戦 広島7―4阪神

(10月13日 甲子園)
 セのCSファーストS第2戦は0―1で迎えた2回の守備で広島のブラッド・エルドレッド内野手(33)が超ファインプレー。その誠実さから生まれたビッグプレーが阪神へ傾きかけた流れを断ち切り逆転勝ちの連勝で広島をCSファイナルSへと導いた。

 誰もが「抜けた」と覚悟した。ベンチの野村監督でさえ、打球の行方を確認できずに「捕ったのか?」と周りのコーチに聞いた。0―1の2回1死一塁。阪神・藤井彰が放った飛球は左翼へ。長打を確信した一塁走者・坂は二塁を蹴っていた。

 この一打に、背走したエルドレッドがジャンプして飛びつく。打球は1メートル96の長身から目いっぱい伸ばしたグラブへ。そのままフェンスに激突しながら素早く返球する。カットに入った二塁手・菊池が一塁へ転送。坂は戻れず併殺が完成した。

 ただの併殺ではない。先行されたゲームの流れを引き戻す価値ある超美技だ。「打球に対してストレートにバックできた。(捕球するのに)高さが足りなかったのでジャンプしたらボールが入ってくれた」。そう話したが、あらゆる要素がそろって生まれた必然のファインプレーだった。

 一塁が本職のエルドレッドは今季、甲子園での左翼スタメン出場は公式戦の9月1日と前日の第1戦を含め、わずか3試合。独特の浜風とデーゲームは逆光で守りが難しい球場だ。しかも、この日は普段と逆で、左翼方向は打者にとっての向かい風が吹いていた。「ここの球場は慣れてる」と言ったが、そうした条件をエルドレッドは全て頭に入れて守っていた。

 不振で2軍落ちしても腐らずに練習に取り組む誠実な助っ人。その誠実さがビッグプレーを生んだ。守備に不安がある外野手なら「抜ける」と判断してクッションボールを待ってもおかしくない打球だ。しかし、逆風を考慮して長身の自分なら届く、と諦めずに追いかけ、走者の動きまで考えて返球した。「びっくりした。でも、普段から一生懸命守備練習している成果だと思う」。野村監督の賛辞が全てだろう。エルドレッドがつかんだのはファイナルSへ続く赤ヘルの勢いだった。

 ▼広島・永田外野守備走塁コーチ エルドレッドは守りでの期待は大きくないけど、逆光とか風向きとか難しい(条件の)中で予想外にいいプレーをしてくれた。

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